カンボジアは、過去数十年間で急速に経済成長を遂げた国の一つです。
その成長の背景には、外国直接投資の増加、政府の積極的な経済政策、そしてインフラの整備があります。
本記事では、カンボジア経済の現状と成長要因、現在の課題、そして将来の展望について詳しく解説します。これからカンボジアへの投資を検討されている方は、ぜひこの記事を通じてカンボジア市場をより深く理解し、適切な戦略を立てる手助けになれたら幸いです。
1、カンボジアの経済概要
カンボジア経済は、2000年代初頭から10%と高い成長率を記録しており、近年のGDP成長率は年間約7%で推移しています。
主要産業は農業、製造業、観光業です。農業は米の生産が中心で、製造業は特に縫製業が発展しています。また、観光業はアンコールワットを中心に世界中から観光客を引き寄せています。
2、経済成長の要因
カンボジアの経済成長の主な要因は以下の通りです。
(1)外国直接投資(FDI)
カンボジアは、中国や日本をはじめとする多くの国からの投資を受け入れています。これにより、製造業やインフラストラクチャーが大きく発展しました。
昨年11月に韓国政府の支援を受け、メコン川を渡る橋2本を建設しています。
(2)インフラ整備
道路、港湾、電力供給などのインフラが整備され、経済活動がスムーズに行えるようになりました。
メコン川周辺で環状線の建設も進んでいて、カンボジアの現地ディベロッパーによる大規模な開発が進められています。
(3)政府の経済政策
経済特区の設立や税制優遇措置など、政府の積極的な政策が成長を後押ししています。
3、現在の課題とリスク
カンボジア経済は成長を続けている一方で、いくつかの課題も抱えています。
(1)貧困と所得格差
経済成長にもかかわらず、貧困率は依然として高く、所得格差も拡大しています。
プノンペンにある高級住宅街では、1億〜5億という高い金額の住宅は多くの金持ちに買われています。町中で走っている車も、ランクル、レクサスからはじめ、マセラティ、アストン・マーチン、ランボルギーニなどの高級車を見かけます。
(2)腐敗とガバナンスの問題
腐敗が経済発展の障害となっており、ガバナンスの改善が求められています。
賄賂という風習はまだ残っており、手続きなどでは賄賂を支払えばスムーズにできる場合もあります。
(3)環境問題
経済活動の拡大に伴い、環境への影響も増加しており、持続可能な発展が課題となっています。
プノンペン、アンコールワットなど市内では、比較的にきれいな町中になっていますが、日本と比較したらやはり汚いと感じる方は多いのではないでしょうか。
(4)国際的な経済リスク
COVID-19の影響や地政学的リスクも無視できません。
4、将来の経済展望
カンボジアの将来の経済展望は明るいと言ってもいいでしょう。特に以下の分野での成長が期待されます。
(1)新興産業
テクノロジー、再生可能エネルギー、デジタル経済などの新興産業が注目されています。
(2)地域経済協力
ASEAN諸国との経済協力や自由貿易協定(FTA)の締結により、貿易が拡大しています。
(3)国際援助とグローバルパートナーシップ
世界銀行やIMFなどの国際機関との協力が経済発展を支えています。
カンボジア国民が最も使われいてると言われているABA銀行は、カナダの国立銀行の子会社になります。また、カンボジアで唯一上場し、最も大きい商業銀行であるアクレダ銀行は、日本三井住友銀行が筆頭株主となっており、オリックス銀行と合せて30%の株式を所有しています。
カンボジアは外資を積極的に入れているということから、日本に住みながらもカンボジアの現地銀行に米ドル口座を開設することができます。円安、インフレなどの影響を受け、米ドル資産が持てて、更に6%前後という高い金利が得られるということから、近年かなり人気を集めています。
特に年収の制限はなく、どなたでも口座解説することができますので、ご興味がある方はぜひお問合せください。
カンボジアでの銀行口座について詳しく知りたい方は、下記記事ぜひチェックしてみてください。
5、成功事例とベストプラクティス
カンボジアには、地元企業や外資系企業の成功事例が多く存在し、これらの事例から学ぶことができます。以下に具体的な成功事例を挙げます。
(1)成功事例1: 繊維業界の発展
- 企業名:Pactics Cambodia
- 概要:Pacticsは、環境に優しい繊維製品を製造する企業で、特に高品質のクリーニングクロスやバッグを生産しています。持続可能な製造プロセスを採用し、従業員の労働環境改善にも力を入れています。
- 成功要因:Pacticsは、エコフレンドリーな製品と持続可能なビジネスモデルに焦点を当て、欧米市場で高い評価を受けています。また、従業員の健康と福祉に配慮した工場運営がブランド価値を高めています。
(2)成功事例2: 観光業の発展
- 企業名:Sokha Hotels & Resorts
- 概要:Sokha Hotels & Resortsは、カンボジア国内外に複数の高級リゾートを展開する企業です。アンコールワットに近いシェムリアップや、首都プノンペンに高級ホテルを所有し、観光客に高品質なサービスを提供しています。
- 成功要因:地元の文化や歴史を尊重しつつ、国際水準のサービスを提供することで、観光客の満足度を高めています。さらに、地元コミュニティとの協力関係を築き、持続可能な観光開発を推進しています。
(3)成功事例3: 外資系企業との協力
- 企業名:H&M(Hennes & Mauritz)
- 概要:スウェーデンのファッション小売大手H&Mは、カンボジアに生産拠点を設け、多くの縫製工場とパートナーシップを結んでいます。H&Mは、カンボジアの縫製産業の発展に大きく貢献しています。
- 成功要因:H&Mは、倫理的なサプライチェーン管理と労働者の権利保護に取り組み、持続可能なファッションを推進しています。これにより、カンボジアの縫製業は国際的な評価を受け、さらなる成長を遂げています。
(4)成功事例4: 再生可能エネルギー分野
- 企業名:Sunseap Group
- 概要:シンガポールを拠点とするSunseap Groupは、カンボジアでソーラーファームを開発し、再生可能エネルギーの供給を行っています。カンボジア初の商業規模のソーラープロジェクトとして注目されています。
- 成功要因:Sunseap Groupは、再生可能エネルギーへの投資と技術導入を通じて、カンボジアのエネルギー供給の多様化と環境保護に貢献しています。また、地元政府との協力関係がプロジェクトの成功を支えています。
これらの成功事例は、カンボジアの経済成長と発展に寄与している重要な要素です。地元企業と外資系企業の協力による相乗効果が見られ、持続可能な成長が期待されています。
6、投資環境と機会
カンボジアへの投資には多くのメリットがあります。
(1)投資の魅力
低コストの労働力、成長市場、政府の支援が挙げられます。
今では日本の企業はまだ少なく、飲食、美容など様々な分野においてはチャンスがあると言えるでしょう。
(2)リスク管理
投資家は、法規制やビジネス環境を理解し、適切なリスク管理を行うことが重要です。
(3)投資環境
政府の投資誘致策や経済特区の設立など、投資環境が整備されています。
カンボジアで現地法人の設立を検討されている方は、下記記事を参照にしてみてください。
7、データと統計
カンボジア経済の現状を理解するためには、具体的なデータや統計を参照することが重要です。以下にて、主要な経済指標とその最新の数値をピックアップしました。
(1)GDP成長率
まずはGDP成長率を見てみましょう。
- 2019年:7.1%
- 2020年:-3.1%(COVID-19の影響によるマイナス成長)
- 2021年:3.0%
- 2022年:5.1%
- 2023年予測:6.0%(世界銀行の予測)
出典:世界銀行
カンボジアの経済は、パンデミックの影響を受けつつも、回復基調にあります。
(2)産業別GDP構成
農業が依然として重要な産業であり、製造業とサービス業が経済成長を牽引しています。
- 農業:20.7%
- 製造業:34.2%
- サービス業:39.8%
- 建設業:5.3%
出典:カンボジア国家統計局
(2)貧困率
貧困率は減少傾向にありますが、パンデミックの影響で一時的に増加しました。
- 2015年:17.7%
- 2019年:12.9%
- 2022年:13.5%(COVID-19の影響による一時的な増加)
出典:世界銀行
(4)失業率
カンボジアの失業率は比較的低い水準を維持しています。
- 2019年:0.7%
- 2020年:0.9%
- 2021年:0.8%
- 2022年:0.7%
出典:国際労働機関(ILO)
ちなみに、先進国である日本の失業率は2.6%(2023年)、アメリカは3.9%(2024年4月)となっています。
(5)外国直接投資(FDI)
中国や日本、韓国からの投資が多く、FDIは経済成長の重要な要素です。
- 2019年:36億米ドル
- 2020年:28億米ドル
- 2021年:31億米ドル
- 2022年:34億米ドル
出典:カンボジア投資委員会
(6)インフレ率
インフレ率は上昇傾向にあり、物価の安定が課題となっています。
- 2019年:2.5%
- 2020年:2.9%
- 2021年:3.5%
- 2022年:4.0%
出典:カンボジア国家統計局
(7)輸出入データ
輸出入のバランスは改善されつつあり、特に衣料品や農産物の輸出が経済を支えています。
- 輸出額:172億米ドル(2022年)
- 主要輸出品:衣料品、履物、米、ゴム
- 輸入額:204億米ドル(2022年)
- 主要輸入品:機械設備、石油製品、建設資材、車両
出典:カンボジア商務省
(8)人口動態
人口の若さと労働力の多さが経済成長の潜在力を高めていますが、都市化の進展が今後の課題となります。
- 総人口:約1,670万人(2022年)
- 労働力人口:約940万人
- 都市化率:24.2%
(9)インフラ開発
インフラの整備が進み、経済活動の効率化と貿易の活性化に寄与しています。
- 道路網:50,000 km(舗装道路の割合は30%)
- 電力供給:全国電化率は約75%
- 主要港湾:シアヌークビル港
出典:アジア開発銀行(ADB)
(10)環境指標
環境保護と経済成長のバランスを取ることが重要な課題となっています。
- 森林面積:国土の47%
- 二酸化炭素排出量:0.9トン/人(2021年)
- 再生可能エネルギーの割合:約10%
出典:カンボジア環境省
これらの具体的なデータと統計は、カンボジア経済の現状を詳細に理解するための基礎情報です。データを基にした分析は、投資やビジネス戦略の立てるにおいて不可欠です。
8、よくある質問
最後によくある質問をご紹介します。
Q1: カンボジアの主要産業は何ですか?
農業、製造業、観光業が主要産業です。
Q2: カンボジア経済の成長要因は何ですか?
外国直接投資、インフラストラクチャーの発展、政府の経済政策が主な成長要因です。
Q3: カンボジア経済の課題は何ですか?
貧困率、所得格差、腐敗、環境問題などが課題です。
まとめ
カンボジア経済は急速に発展しており、多くの成長機会があります。しかし、貧困やガバナンスの問題など、克服すべき課題も多いです。
こちらの記事を参考に、ぜひこれからのカンボジアへのビジネス進出に役に立ててください。
株式会社エワルエージェント 代表取締役
宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー2級
不動産投資、資産運用のメディアを10年以上運用しています。
自分がカンボジア不動産投資、現地銀行口座開設の経験を基に、みなさんにあまり知られていないカンボジアに投資する魅力や、役に立つ情報をお届けします。
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