資産運用において、外貨資産の割合を考える際、多くの人が注目するのが「ドル資産」です。
特に近年、円安や国内経済の停滞によって、日本円だけに依存するリスクが高まっています。そのため、ドル資産を組み込むことでリスク分散を図り、資産の安定性を確保しようとする動きが強まっています。しかし、「ドル資産はどのくらいの割合で持つべきなのか?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、資産ポートフォリオにおけるドル資産の適切な割合の決め方や、増やし方、リスク管理の方法について詳しく解説します。この記事を読むことによって、ドル資産を持つメリットや、最適な比率を理解し、より効果的な資産運用が可能になります。
投資プロがドル資産の持ち方についてもご紹介しますので、ぜひ最後お付き合いください。
目次
1、ドル資産を持つべき理由とは?ドル資産のメリットと役割
資産運用において「ドル資産を持つべきかどうか」は、多くの投資家が直面する重要なテーマです。
特に、日本の経済環境や為替変動の影響を受ける中で、ドル資産の保有は多くのメリットをもたらす可能性があります。ここでは、ドル資産を持つべき具体的な理由を詳しく解説します。
(1)ドルは世界の基軸通貨である
ドルは世界中で広く使われており、国際的な貿易取引や金融取引の大半がドル建てで行われています。つまり、ドルは他の通貨よりも安定性が高く、信頼性があると言われています。
以下の理由から、基軸通貨としてのドル資産を持つことは重要です。
①グローバルな経済の中心
ドルは国際市場で主要な通貨であり、石油などのコモディティ価格や多くの国際取引がドル建てで決済されています。
そのため、ドルの価値が下がりにくい特性を持ち、長期的な資産運用において信頼できる通貨とされています。
②金融危機時にもドルは強い
過去の金融危機や経済不安の際、多くの投資家が「安全な避難先」としてドルに資金を移すことが一般的です。
これはドルがグローバルに広く利用されているためであり、特に不況時でもドルの需要は高まります。
(2)円安時に資産価値を保つためのヘッジ手段
日本の経済環境では、円安傾向が長く続いています。
特に、近年の低金利政策やインフレ懸念が影響し、円の価値が下落しています。円の価値が下がると、国内の物価が上昇し、円建ての資産の実質価値が減少するリスクがあります。
①円安による資産価値の目減りを防ぐ
円安が進行すると、日本円の購買力が低下します。この時、ドル資産を持っていると、ドル高の恩恵を受けることができ、日本円の価値下落をカバーすることが可能です。
特に、海外旅行や海外での買い物をする際、ドル資産を持っていると為替の影響を受けにくくなります。
②国際的な資産分散効果
資産運用において、全てを円建てで持つことはリスクが高いと言われています。
国際分散投資の一環として、ドル資産を保有することで、為替リスクを分散させ、日本経済の変動に依存しない安定した資産構築が可能です。
(3)米国経済成長の恩恵を受けられる
米国は世界最大の経済大国であり、テクノロジー、ヘルスケア、金融など、世界をリードする産業が数多く存在しています。
米国の経済成長に連動するドル資産を保有することで、その恩恵を受けることができます。
①成長市場のリターンを狙える
米国の株式市場は、特に長期的な成長を続けており、S&P 500指数やNASDAQ指数は過去数十年で大きな上昇を遂げています。
ドル建ての資産を持つことで、これらの成長市場に直接リターンを狙うことが可能です。
②イノベーションの中心地としての魅力
米国には、Apple、Amazon、Google、Teslaといった世界をリードする企業が数多く存在しており、これらの企業は継続的な技術革新を通じて高い成長を実現しています。
ドル建ての投資信託や米国株式を保有することで、こうした企業の成長に投資できる点が大きな魅力です。
(4)高金利の恩恵を受ける
米国の金利は、日本に比べて高い傾向にあります。特に、米国が金利を引き上げる局面では、ドル建ての債券や外貨預金が高い利回りを提供することが多いです。
①外貨預金の金利メリット
日本の低金利環境と比較して、ドル建ての外貨預金は高金利が期待できるため、預金しているだけで収益を得られる可能性があります。特に長期的に安定した利回りを期待できる点が、ドル資産を持つ大きなメリットです。
②米国債券の投資機会
ドル建ての米国債券は、比較的低リスクでありながら、安定した金利収入を得ることができる商品として人気です。
特に、米国が金利を引き上げる局面では、ドル建て債券の利回りが上昇し、より魅力的な投資機会となります。
(5)グローバル投資家としての視野を広げる
ドル資産を保有することで、日本国内だけでなく、グローバルな視野で資産運用を行うことができます。
これにより、経済リスクを分散し、より大きな市場にアクセスすることが可能になります。
①グローバルな投資機会
ドル資産を持つことで、米国市場だけでなく、世界中のドル建て資産にもアクセスできるようになります。
例えば、世界中の不動産投資信託(REIT)やコモディティ投資など、さまざまな投資機会が広がります。
②分散投資によるリスク軽減
ドル資産を持つことで、リスクを分散し、一国の経済状況に依存しないポートフォリオを構築することができます。
日本円だけではなく、ドルや他の通貨を組み合わせた資産運用を行うことで、安定したリターンが期待できます。
2、ドル資産の適正割合の決め方
ドル資産をどのくらい持つべきかは、リスク許容度や投資目標、ライフステージに応じて異なります。
以下の要素を考慮して、適正なドル資産の割合を決めましょう。
(1)リスク許容度に基づく割合
一般的に、総資産の20〜40%をドル資産として持つことが推奨されます。
リスクを取れる若い世代は、ドル資産の割合を増やすことでリターンを狙い、退職が近づく中高年層は、安全性を重視して割合を低く抑える傾向があります。
- ハイリスク志向: 30〜40%
- ローリスク志向: 20%前後
(2)ライフステージに応じた資産配分
ライフステージで見た場合は、下記割合は一つの目安になります。
①若年層(20〜40代)
長期投資を前提に、リスクを取ることで将来的な資産成長を期待できます。この場合、30〜40%をドル資産にするのが一つの目安です。
②中年層(40〜60代)
子供の教育費や家の購入などの大きな支出があり、リスクを取りすぎると将来に響くため、20〜30%が適正な割合です。
③リタイア層(60代以上)
安全資産にシフトしつつ、為替リスクのヘッジとして10〜20%程度のドル資産を維持するのが一般的です。
(3)目的別配分
目的別の配分は、下記割合が1つの目安になります。
- 資産保全: 安全資産を重視し、10〜20%程度のドル資産を保持
- 資産増加: よりリスクを取り、30〜40%をドル資産に
(4)プロは100%の割合で持つ?
投資プロの中には、100%の割合でドル資産を持たれている方もいらっしゃいます。
その場合は、ドル決済のデビットカードを持っていると、すべての支払いはドルで決済されますので、ドルが基軸通貨になるため、円安などの影響は一切受けなくなります。
デビットカードは世界中で使えますので、日本で生活をしていても問題なく使えます。そうすれば、円安やインフレなどの影響で物価上昇で生活に影響を受けることなく、すべてドルで支払いをすればいいです。
実際に私はカンボジアにドル口座を持っており、その銀行が発行しているドル決済のデビットカードを持っています。日本にいても、問題なくドル決済で支払いができています。もちろんカードのランクによって年会費が変わりますが、一番ベーシックのカードはわずか5ドル(約725円※1ドル=145円で試算)から、かなり安く持つことができます。
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カンボジアの銀行口座、デビットカードについてご興味がある方は、ぜひ下記記事をチェックしてみてください。
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3、ドル資産を増やす方法
ドル資産を増やすためには、いくつかの投資方法があります。それぞれの方法のメリットとリスクを理解して、適切な選択をしましょう。
(1)ドル建て投資信託・ETF
米国市場に連動する投資信託やETF(上場投資信託)は、分散投資を行いながらドル資産を増やす方法として有効です。
特に米国株式市場や債券市場に投資することで、安定した成長を期待できます。
例えば、 S&P 500 ETF、米国債券ファンドなどが挙げられます。
(2)外貨預金
ドル建ての外貨預金は、為替の変動に影響されながらも金利が高めに設定されることが多いです。為替手数料やリスクを考慮しつつ、定期預金で金利収入を得ることができます。
- メリット: 手軽に始められる。高金利の恩恵。
- デメリット: 為替手数料、為替変動によるリスク
外貨預金について詳しく知りたい方は、ぜひ下記記事もチェックしてみてください。
③米国ETFや個別株への投資
米国の成長企業や市場に直接投資する方法です。米国株式市場は成長性が高いため、長期的なリターンが期待できますが、株式投資特有のリスクも伴います。
例えば、 Apple、Amazon、Teslaなどの米国企業株が挙げられます。
(3)ドル建て保険やドル建て年金
ドル建ての生命保険や年金商品は、長期的にドルで資産を形成するのに適した方法です。
これにより、為替リスクを抑えつつ、ドルベースで資産を積み立てることが可能です。
4、日本と米国の経済動向を考慮した資産配分
ドル資産の割合を決める際、日米の経済状況を把握することが重要です。
現在の米国経済はインフレや利上げ政策に直面していますが、依然としてグローバルな成長エンジンです。これに対して日本経済は、低金利と円安傾向が続いており、ドル資産の必要性が高まっています。
- 米国経済の強み: 成長の見通しが強い米国市場に資産を配分することでリスクを抑制
- 為替リスク: 為替の変動がドル資産にどのような影響を与えるか、タイミングによって異なる
5、ドル資産のリスク管理と注意点
ドル資産を持つことには多くのメリットがありますが、リスクも伴います。これらのリスクを管理し、適切なバランスを保つことが重要です。
(1)為替リスク
ドル資産を保有している場合、円高になればドル資産の価値が減少します。
これに対処するためには、定期的にドルと円の為替相場を確認し、必要に応じてポートフォリオの見直しを行うことが大切です。
(2)ドル資産が多すぎるリスク
ドル資産が全体の50%以上になると、米国経済に依存しすぎることになります。
米国市場の変動により大きな損失を被る可能性があるため、分散投資が必要です。他の外貨や国内資産とのバランスを取りましょう。
(3)流動性のリスク
ドル建て投資商品は、緊急時にすぐに現金化できない場合があります。
特にドル建て年金や長期の保険商品では、途中解約時にペナルティが発生することがあるため、流動性を意識した資産配分を考慮すべきです。
6、具体的なポートフォリオ例
ドル資産を効果的に組み込んだポートフォリオの具体例をいくつか紹介します。これらはリスク許容度や投資経験に応じて参考にできます。
(1)初心者向けポートフォリオ
- 30%: ドル資産(米国ETF、外貨預金など)
- 70%: 国内資産(円建て債券、株式、現金)
このバランスは、ドル資産を保有しつつ、リスクを抑えた保守的なアプローチです。
(2)中級者向けポートフォリオ
- 40%: ドル資産(米国株式やETF、ドル建て保険)
- 30%: 国内株式や債券
- 30%: その他の外貨や不動産投資信託(REIT)
この配分は、ドル資産を中心にリターンを狙いつつも、分散投資を行ってリスク管理を行うモデルです。
(3)リタイアメント向けポートフォリオ
- 20%: ドル資産(外貨預金、米国債券)
- 80%: 安全資産(国内債券、定期預金、現金)
リタイアメントに向けて安全資産を重視しながら、為替リスクを避けるために少量のドル資産を保有するプランです。
7、よくある質問(FAQ)
最後によくある質問をいくつかご紹介します。
Q: ドル資産の適正割合はどのくらいですか?
A: 一般的には20〜30%が適正とされていますが、個々のリスク許容度や投資目的に応じて調整する必要があります。
ドル資産を増やす最適なタイミングはいつですか?
A: 円安局面や米国経済の成長期にドル資産を増やすことが一般的です。ただし、長期的な視点で計画的に積み立てることも有効です。
Q:ドル資産を持ちすぎるとリスクはありますか?
A: ドル資産が50%を超えると米国経済や為替リスクに過度に依存することになります。ポートフォリオの見直しを定期的に行い、適正な割合を保ちましょう。
Q:ドル建て商品に投資する際、注意すべきことは?
A: 為替手数料や税金のコストを考慮し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることが重要です。
まとめ
ドル資産の適正割合は、個々のリスク許容度やライフステージ、経済情勢に応じて異なりますが、一般的には20〜40%程度を目安にすることが推奨されます。
重要なのは定期的な見直しと、ポートフォリオ全体のバランスを保つことです。
不安な方はぜひ気軽にご相談ください。
株式会社エワルエージェント 代表取締役
宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー2級
不動産投資、資産運用のメディアを10年以上運用しています。
自分がカンボジア不動産投資、現地銀行口座開設の経験を基に、みなさんにあまり知られていないカンボジアに投資する魅力や、役に立つ情報をお届けします。
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