平均成長率7%前後を維持し、2070年まで人口が増えるとと試算ができ、また平均年齢25歳と非常に若いカンボジアにチャンスと感じ、カンボジアに現地法人を設立したいと考えている経営者が増えています。
特に円安である今、東南アジアの中で唯一米ドル経済であるカンボジアに魅力と感じている方も少なくないでしょう。
では、カンボジアでは外国人でも簡単に現地法人を設立できるのでしょうか。設立する手順、必要な書類などについて知らない方は殆どでしょう。
そこで今回の記事では、カンボジアで現地法人を設立する時に知っておくべき知識をまとめました。カンボジアでの現地法人設立を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
1、カンボジアの法人種類
カンボジアの現地法人の形態は、原則的に有限責任会社となります。最低資本金額は400万リエル、約1,000米ドルがあれば設立することができます。
外国人または外国企業の100%出資により、有限責任会社を設立することができます。なお、有限責任会社への出資比率は、
- カンボジア資本:100%
- 外国資本:100%
- カンボジアと外国資本の合弁
の3種類があります。
カンボジアと外国資本の合併会社の場合は、会社法により外資が51%以上の場合は「外国法人」、50%未満の場合は「内国法人」と定義されます。
2、カンボジアの現地法人
カンボジアで設立するのは「有限責任会社(LLC:Limited LiabilityCompany)」になります。
有限責任会社は、すべての株主が間接有限責任を負う形態で、
- 非公開会社(Private Limited Company)
- 公開会社(Public Limited Company)
に分けることができます(85条)。カンボジアでのLLCは株主による有限責任を定義しており、日本での株式会社に該当します。
一般的には非公開会社になります。法人税は20%と一律です。
3、非公開会社と公開会社の違い
カンボジアには非公開会社と公開会社があります。その違いを見てみましょう。
(1)非公開会社とは
2名以上30名以下の株主で設立される会社であり、株式の譲渡について制限がある会社をいいます。
株主が1名の場合は、単独株主有限責任会社(Single Member Limited Company)となります。単独株主有限責任会社と非公開会社の違いは、株主相互間の関係を除き、ほぼ同じ扱いとなります(86条)。
(2)公開会社とは
公開会社とは、株式の上場を前提としており、株式の募集は証券取引所を通じて行い、公衆から株主を募集する形で資本調達を行います。
3名以上の取締役を設置しなければなりません(118条)。
保険会社、金融会社は、公開有限会社として登録しなければなりません。
4、カンボジアで現地法人設立するメリットと注意点
カンボジアで現地法人設立するには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
また注意すべき点についても解説します。
(1)カンボジアに現地法人設立をするメリット
まず、現地法人を設立するメリットについて見ていきましょう。
大きく2つのメリットがあります。
①米ドル資産を築くことができる
1つ目は米ドル資産を築くことができます。
東南アジアの中でカンボジアは唯一米ドル経済の国であります。つまり、カンボジアで現地法人を持つことで、取引は米ドルになるため、米ドル資産を築きたい人にとっては非常に大きな魅力があると言えるでしょう。
特に円安の今では、なおさらメリットが大きいです。
②法人税の税率は一律「20%」である
2つ目はカンボジアは資本金に関係なく法人税の税率は一律「20%」と決まっています。
利益が多く出す会社にとっては非常にメリットが大きいと言えます。
(2)現地法人設立する注意点
日本の法人は年1回の決算に対して、カンボジアは毎月決算になります。
税理士の報酬は取引件数によって金額が変わるので、取引件数が多ければ多いほど費用が高くなることについて注意する必要があります。
5、現地法人設立する時の流れ
下記流れで現地法人を設立します。
なお、カンボジア現地に行くタイミング、公証役場の手続き、レンタルオフィスの契約など細かい手続きについては面談の時にお伝えさせて頂きます。より詳細を知りたい方はお問合せください。
- STEP1:会社情報の決定
- STEP2:設立サポート費用のお支払い
- STEP3:現地法人の会社名(商号)の確保
- STEP4:必要書類の準備
- STEP5:商業登記申請
- STEP6:税務登録
- STEP7:税務局員の訪問
- STEP8:登記書類の発行
- STEP9:法人口座の開設
では、それぞれについて見ていきましょう。
(1)STEP1:会社情報の決定
株主、商号、資本金、業務内容、会社所在地等の会社情報を決めます。
(2)STEP2:設立サポート費用のお支払い
設立サポート費用をお振込みいただきます。
(3)STEP3:現地法人の会社名(商号)の確保
カンボジアの商業登記事務所にて、希望の会社名が利用できるかどうかの確認を商業省へ照会を行い、可能な場合は商号の予約取得します。
申請後3日~7日ほどで商号の取得ができ、予約は3か月間有効です。
(4)STEP4:必要書類の準備
カンボジアでの会社設立申請には、次の書類を準備する必要があります。
- 株主と取締役全員のパスポート
- 株主と取締役全員の日本とカンボジアの連絡先(カンボジア連絡先が必要)
- 株主と取締役全員のメールアドレス
- 株主と取締役全員の証明写真(4cm×6cm White Background)
- 株主と取締役全員のカンボジア住所情報・日本住所情報
- カンボジア会社所在地の住所情報とIP ADDRESS位置情報リンク「事務所写メの添付も」
- カンボジア会社所在地の賃貸契約書
- 従業員情報(人数・給料明細書など)
- 基本定款(定款を確認し、取締役と株主の方々全員のサインをいただきます。)
(5)STEP5:商業登記申請
ご用意いただいた書類と会社情報を元に、商業省に商業登記申請を行います。
登記が完了するとご指定のメールアドレスに商業省から直接メールが届きます。商業省より労働省へ名簿が報告されます。
(6)STEP6:税務登録
代表者様が税務局に行き税務登録を行います。サインと拇印が必要です。
(7)STEP7:税務局員の訪問
税務登録後10日~2週間程度で税務局員がオフィスを訪問し、税務局員と面談する必要があります。
(8)STEP8:登記書類の発行
税務登録完了後、商業省より登記証、定款、社印、税務局より登録証、パテントナンバー証明書、VAT証明書が発行されます。
(9)STEP9:法人口座の開設
税務登録完了後、2週間以内に法人銀行口座を開設し税務局に登録します。
6、許認可・ライセンスについて
カンボジアでは、業種・業態によっては、監督省庁において個別の許認可を取得する必要があります。
例えば、融機関、保険、医療、石油・ガス、通信などが該当します。
該当する業種の現地法人設立についてご検討の方ははぜひご相談ください。
7、カンボジアにて法人設立する時の取得書類
カンボジアで現地法人設立が完了の時に、下記の書類を取得することができます。
情報が疎いことから、カンボジアに限らず東南アジアでよく騙されたなどのお話を耳にします。特にカンボジアはまだ現地法人設立のサポート会社が少なく、本当に完了できているのか、騙されないためにもきちんと書類が完備しているかは必ずチェックするようにしてください。下記チェック表をダウンロードしてご活用ください。
少しでも不安がある方は、ぜひご相談ください。
取得書類チェック表 | ||
取得書類 | チェック | |
商業省 | 設立証明書(CertificateofIncorporation) | □ |
商業登録情報 (Company Extract、クメール語版・英語版) |
□ | |
租税総局 | パテント税証書 (Patent Tax Certificate) |
□ |
VAT登録証書 (Certificate of Tax Registration) |
□ | |
税務登録IDカード (Tax Registration Identification Card) |
□ | |
税務申告の通知書面 (Notification Letter on Tax Obligation) |
□ | |
労働省 | 事業所開設申告 (Declaration of Opening of Enterprise)の承認書 |
□ |
国家社会保障基金 (NSSF)の企業登録証明書(Enterprise Registration Certificate) |
□ | |
レンタル事務所など | 契約書 | □ |
8、オフィスやテナントのレンタルについて
法人設立の場合は、日本と同じように登記するオフィスなどが必要になります。
(1)オフィスをレンタルする時の流れ
カンボジアにオフィスをレンタルする時の流れは、日本とは大きく変わりません。
- ①お問い合わせ・予約
- ②物件内見
- ③申し込み
- ④契約完了(諸経費などを支払いします)
(2)法人契約に必要な書類
法人契約をする時は下記書類が必要になります。
- 代表者のパスポート
- 設立証明書(Certificate of Incorporation)
- パテント税証書(Patent Tax Certificate)
法人契約の場合は、設立証明書などは会社設立後に発行される書類であるため、一旦個人名義で契約を締結します。法人設立の手続きが完了次第、法人名義に契約を変更する必要があります。
オフィスやテナントなどのレンタルサポートもしていますので、ぜひご相談ください。
9、現地法人設立に必要な費用
カンボジアにて現地法人を設立する時に必要な実費を見てみましょう。
法人設立料金 | 実費($) | |
商業省 | 商号登録費用 | 6.25 |
商業登録費用 | 252.5 | |
租税総局 | 業務登録費用 | 100 |
パテント税登録費用 | 150 | |
労働職業訓練省 | 事業所開設申告 | 30 |
銀行からの口座証明書 | 10 | |
公証役場の公証費用 (書類3部の場合) |
225 | |
資本金 | 1,000 | |
SIMカード | 2 | |
合計 | 1775.75 |
なお、上記は中企業納税者を前提として予算になっており、資本金や会社の規模によって異なることがあります。
また、カンボジアは毎月決算が必須です。取引件数に応じて税理士に依頼する時の費用が異なっていて、250米ドル〜がスタートラインの目安になります。確定申告も取引件数に応じて異なり、500米ドル〜が一つのスタートラインとなります。
法人設立のサポート費用に関しても会社の規模によって異なりますので、詳しく知りたい方はぜひお問合せください。
まとめ
今回はカンボジアにて現地法人設立について書きましたが、参考になりましたでしょうか。
これから経済成長が著しくなると言われているカンボジア、まだまだ日本企業が少ないのです。ぜひ今から法人設立をし、大きなチャンスを掴んでください。
空いてるスケジュールに予約を入れるだけなので、カンボジア現地法人設立に関してはすべてお手伝いできますので、ぜひ気軽にご相談ください。
株式会社エワルエージェント 代表取締役
宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー2級
不動産投資、資産運用のメディアを10年以上運用しています。
自分がカンボジア不動産投資、現地銀行口座開設の経験を基に、みなさんにあまり知られていないカンボジアに投資する魅力や、役に立つ情報をお届けします。
You Tubeチャンネル「不動産投資の女神チャンネル八木チエ」にて不動産投資を始め、資産運用に関する情報発信をしています。ぜひご覧ください。