アメリカ大統領戦でトランプ当選により、ドル円相場はこの1ヶ月で約10円の1ドル=154円(11月6日時点)の円安、ドル高が進みました。更にトランプが就任早々に景気刺激策を打ってくるとなれば、1ドル=155円〜160円まで円安になる可能性があるとの指摘もありました。
円安が進行すると、多くの人がネガティブな影響を心配します。輸入品の価格上昇や生活費の増加がその理由です。
しかし、円安には庶民にとっても意外なメリットがあることをご存知でしょうか?
今回は、円安の基本知識から庶民にとってのメリットまでを詳しく解説します。デメリットや対策も合せて解説しますので、円安について気になる方、対策を講じたい方は、ぜひ最後までお読みください。
1、円安の基本知識
円安とは、日本円の価値が他の通貨に対して低下することを指します。これにより、1ドルを買うのに必要な円の量が増えます。たとえば、1ドル100円だったのが、1ドル120円になることを意味します。
実際に過去5年のドル円の為替レートを見てみますと、2019年8月の106.26円から2024年7月の157.06円と約50円の円安が進んでいる事がわかります。
出典:三菱UFJ銀行「外国為替相場チャート表」
(1)最近の円安の背景
なぜ円安が進んでいるのでしょうか。その背景についてご紹介します。
①日銀の金融緩和政策
近年の円安の大きな要因の一つは、日本銀行(日銀)の金融緩和政策です。
日銀はデフレ脱却と経済成長の促進を目指し、大規模な金融緩和を実施しています。この政策により市場には大量の円が供給され、その結果、円の価値が低下し、円安が進行します。
②アメリカの金利上昇
アメリカ連邦準備制度(FRB)は、インフレ抑制と経済成長のバランスを取るため、段階的に金利を引き上げています。
金利が上昇すると、投資家はより高い利回りを求めてドル建て資産を購入するため、ドルの需要が増加し、円の価値が相対的に下がります。これが円安を引き起こす主要な要因となっています。
③貿易収支の悪化
日本の貿易収支が悪化すると、円安が進行しやすくなります。
輸出額が減少し、輸入額が増加することで貿易赤字が拡大し、円の需要が低下します。特に、エネルギー価格の上昇による輸入コストの増加が、貿易収支に影響を与えています。
④世界的な地政学リスク
地政学リスクの高まりも円安に影響を与えています。
例えば、国際的な紛争や政治的不安定が続くと、安全資産とされるドルが買われ、円が売られる傾向があります。これは、リスク回避のために投資家がドルを選好するためです。
⑤国内経済の停滞
日本国内の経済成長が鈍化していることも、円安の一因です。
低成長が続くと、外国からの投資が減少し、円の需要が低下します。さらに、国内消費や投資が伸び悩むことで、円の価値が低下する要因となります。
(2)円安の進行の影響
これらの要因が重なり合って、現在の円安が進行しています。円安は、輸出企業にとっては有利に働きますが、輸入品の価格上昇や生活費の増加など、一般家庭にとっては影響が大きい側面もあります。
しかし、円安には庶民にとってもメリットがあるのです。
2、庶民にとっての円安のメリット
円安は一般的にネガティブな影響が強調されがちですが、庶民にとってもいくつかのメリットがあります。
以下に具体的なメリットを紹介します。
(1)観光業とインバウンド需要が増えた
円安により、観光業とインバウンド需要が増えました。
①外国人観光客の増加
円安が進行すると、日本を訪れる外国人観光客にとって、日本での滞在がより経済的に有利になります。
外国通貨に対する円の価値が下がるため、外国人観光客が日本国内で使うお金が増え、消費が活発化します。
②地元経済への貢献
観光客の増加により、宿泊施設やレストラン、観光地などの地元ビジネスが活気づきます。これにより、地域経済が潤い、雇用機会も増加します。
特に、観光地や都市部だけでなく、地方の観光地も恩恵を受けることが期待されます。
(2)輸出産業の活性化
円安により、輸出産業の活性化にも繋がりました。
①日本製品の価格競争力向上
円安により、日本製品の価格が相対的に安くなり、海外市場での競争力が増します。
これにより、日本の製造業や輸出企業が恩恵を受け、業績が向上します。
②中小企業への波及効果
輸出産業が活性化することで、関連する中小企業も好影響を受けます。
例えば、自動車部品を製造する中小企業や農産物を輸出する農家などが、需要の増加に伴って収益を上げることができます。
③雇用機会の増加
輸出産業の成長は雇用の増加につながります。製造業や物流、サービス業などで新たな雇用機会が生まれ、地域経済全体の活性化に寄与します。
(3)外貨建て投資の利益増加
外貨建て投資などをされている方にとってもメリットがあります。
①外貨預金や外国株式投資のリターンが増える
円安になると、外貨建ての資産が増えるため、外貨預金や外国株式投資のリターンが増加します。
これにより、資産運用の効率が向上し、投資家にとって有利な状況が生まれます。
②外貨建て保険や年金のメリット
外貨建ての保険や年金を持っている場合、円安時には受け取り額が増加します。これにより、将来の生活設計がより安定し、安心感が増します。
3、円安の注意点とリスク
円安には庶民にとってのメリットも多い一方で、注意しなければならないリスクやデメリットも存在します。
以下の点が挙げられます。
(1)輸入品の価格上昇
円安になると、輸入品の価格が上昇します。特にエネルギー資源や食品、生活必需品などの輸入品が高くなるため、家計への負担が増加します。
例えば、ガソリンや電気代が高騰し、交通費や電気代が上がる可能性もあります。
(2)物価上昇(インフレ)
輸入品の価格上昇は、国内全体の物価上昇につながることがあります。これにより、生活費が増加し、特に固定収入の人々にとっては家計の圧迫となります。
(3)海外旅行のコスト増加
円安になると、海外旅行の費用が増加します。
航空券や宿泊費、現地での食事や買い物の費用が高くなり、旅行を計画する際には予算を見直す必要があります。
円安でできる海外旅行のコツなどについて下記記事にて書いていますので、ぜひチェックしてみてください。
4、庶民でもできる外貨建て資産を増やす方法
円安により物価が上がり、生活が苦しくなった方も少なくないでしょう。そこで外貨建て資産を持っていれば、円安が進むことによって、資産を増やすことに繋がります。
そこで実際に私も実践している、庶民でもできる対策をご紹介します。
私はカンボジアの現地銀行にドル口座を持っていて、定期預金で6%の貯金をしています。円安になることによって、元々の金額が増え、更に利息がつくので、元金よりかなり金額が増えています。
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下記記事では詳しく書いていますので、ぜひチェックしてみてください。
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まとめ
円安は、ネガティブな側面が強調されがちですが、庶民にとっても多くのメリットがあります。
観光業の活性化や輸出産業の伸び、外貨建て投資の利益増加など、円安を上手に利用することで、私たちの生活を豊かにすることができます。
今後も為替動向に注目し、自分にあった適切な対策を講じていきましょう。
株式会社エワルエージェント 代表取締役
宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー2級
不動産投資、資産運用のメディアを10年以上運用しています。
自分がカンボジア不動産投資、現地銀行口座開設の経験を基に、みなさんにあまり知られていないカンボジアに投資する魅力や、役に立つ情報をお届けします。
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