皆さんも知っての通り、2020年に新型コロナウイルスは、多くの企業に大きな影響を与えました。
一方で新型コロナウイルスの影響を受け、儲かった業種も多くあります。
では、どんな業種が儲かったのでしょうか?
また、コロナ不況に苦しんでいる会社も、M&Aを望んでいる場合も少なくないでしょう。
このように、体力のある企業にとっては、コロナ以前よりも良いM&Aを成立させるチャンスともいえます。
しかし、このチャンスを活かすためには、M&Aを検討している業種がコロナ禍において、どのような状態であるかを把握しておかないといけません。
そこで、この記事では新型コロナウイルスの影響によって、実際に儲かった業種、大変だった業種、大変だけどM&Aを検討する時のコツなどについて詳しく解説していきます。
1、新型コロナウィルスの経済に与えた影響
新型コロナウイルスの影響により、生活がかわり、さまざまな分野で影響を与えています。
例えば、大学のリモート授業の増加や自宅勤務の推奨などです。
このような変化は人々の生活だけでなく、経済にも大きな影響を与えています。
(1)コロナ不況
コロナの感染拡大を防ぐ緊急事態宣言により、都道府県をまたぐ移動の自粛や店舗営業の制限などによって、個人消費を中心に消費が悪化しました。
また、新型コロナウイルスの拡大防止のために、外国からの入国を制限したため、インバウンド消費もなくなっています。
特に、飲食店や接客業、エンターテイメント業、運輸業、観光業などは営業自粛要請や移動自粛もあり、人を集めることもできないため、かつてない不況です。
(2)GDP成長率の低下
新型コロナウイルスにより、2020年4〜6月期の実質GDPの成長率はマイナス27.8%となりました。
この数字は、あのリーマン・ショック後の2009年1〜3月期のマイナス17.8%を超える戦後最悪の結果です。
多くの経済活動が落ち込んでおり、この経済活動がいつ戻ってくるのかは誰にもわかりません。
このように、経済面でもコロナウイルスは、日本や世界で大きな影響を与えました。
2、コロナ禍でライフスタイルの変化
新型コロナウイルスによって、人々のライフスタイルに変化が起きています。
感染拡大を防ぐために、ソーシャルディスタンスを保って生活することやマスクの着用など、今まで必要なかったことに注意しながら生活しければなりません。
代表的なライフスタイル変化が、以下の3つです。
- 巣ごもり消費
- リモート
- コロナ対策
それぞれについて、説明します。
(1)巣ごもり消費
巣ごもり消費とは、新型コロナウイルスの影響によって、外出の自粛が起きたことにより、生まれた新しい消費行動です。
今まで多くの人が外で食事や娯楽、運動などを楽しんでいたのが、外出自粛によって、家で食事をとることや家にいる時間が多くなることで、消費行動が変化しました。
この変化によって、家でエンターテイメントを楽しみたい人が増え、動画配信サービスやゲーム需要が増加したのです。
他にも、自宅で外食を食べたい人向けのフードデリバリーサービスなども増加しています。
このように、自宅でより快適に、より楽しく過ごすためのアイテムやサービスが求められており、消費行動も激しく変化しています。
(2)リモート
新型コロナウイルスにより、働き方も大きく変化しました。
その変化とは、テレワークの増加です。
コロナ以前はテレワークを一部の企業で実施されているだけで、多くの企業が導入していませんでした。
しかし、コロナの感染拡大の防止策として、政府がテレワークの導入を推奨したため、今では自宅にいながらリモートで勤務するテレワークを多くの企業で導入しています。
このテレワークの拡大により、「ZOOM」などのアプリが急速に普及しました。
これらのアプリが普及したことによって、リモートでの飲み会など、個人での活用も増えています。
このように、テレワークの拡大によって、さまざまな活動がリモートでの活動に変化しているのです。
(3)コロナ対策
最後に紹介するライフスタイル変化はコロナ対策です。
新型コロナウイルスの拡大防止策として、ソーシャルディスタンスを保つことや3密を避けることなどが推奨されています。
他にも、手洗いや消毒の実施、マスクの着用など、コロナが発生する以前は必要なかったことを実施しなければなりません。
このように、コロナ対策として、マスクや消毒液などの多くの商品が必要になっています。
そのため、多くのコロナ対策商品が発売されており、人気の商品になっているのです。
3、コロナの影響で儲かった業種
ここまで、紹介したように新型コロナウイルスによって、ライフスタイルが変化していました。
このライフスタイル変化により、さまざまな業種に影響を与えています。
では、コロナ禍でも儲かっている業種はどのような業種があるのでしょうか?
それは以下の9つの業種です。
(1)自転車関連
新型コロナウイルスの感染を避けようと、電車やバスなどの公共交通機関を利用しない方が増えています。
公共交通機関の代わりに自転車を移動手段にして、通勤や通学している人が増加しているため、自転車関連企業は好調です。
代表的な企業は自転車専門店の「あさひ」や自転車部品を製造している「シマノ」といった企業が、2020年8月に株価が上場以来の過去最高値を更新するなど、コロナ禍でも業績を伸ばしているのです。
(2)IT企業
コロナ禍でもIT企業は儲かっている会社が多いです。
特に、「ZOOM」に代表されるようなリモート関連企業の需要は飛躍的に伸びており、IT企業の中でもトップクラスに儲かっている企業になります。
また、リモート関連以外の企業でも、他の業種に比べてコロナ影響が少ないため、業績が悪化した企業は少ないです。
さらに、テレワークが増加したことにより、今後デジタル化を推進しようと考えている企業が増えてきており、テレワークを行うためのITインフラの整備の需要が増えてきています。
このように、働き方が変わったことによって、儲かっている業種の一つです。
(3)動画配信
コロナ禍において、「Netflix」や「Hulu」などの定額動画配信サービスの需要が増加している状況です。
アメリカのネットフリックスが7月に発表した有料会員の増加数は3月末と比べて、全世界で1009万人増加しており、予想を上回る新規会員を獲得しました。
また、売上と純利益も過去最高を更新し、非常に好調です。
好調の背景には、世界的に外出自粛や外出制限により、自宅で過ごすことが増えたことや映画館、劇場などの休業により、娯楽費を動画配信サービスへ回す人が増えたことがあります。
(4)ゲーム会社
ゲーム会社も動画配信と同じように、自宅で過ごす時間をより充実したものにしたいという意識から、需要が増えている好調な業種です。
特に、家族で楽しむことができる「Nintendo Switch」は手に入るのも困難になっています。
このようにライフスタイルが変化したことにより、特需が発生している状態です。
そのため、コロナが終息してくると、落ち着いてくる業種といえるかもしれません。
(5)フードデリバリー
巣ごもり消費により、好調な業種の一つがフードデリバリーです。
新型コロナウイルスの感染が拡大したことにより、外食をすることを避ける人は珍しくありません。
そのため、コロナ以前より、家族全員の食事を作ることが増えており、主婦の負担も増加しています。
このように、外食する機会が減少したことと、主婦の負担が増えたことにより、フードデリバリーを利用する人が増えました。
さらに、利用する人が増えたことにより、「Uber Eats」や「出前館」といった宅配サービスを開始する店舗も増え、ますます需要が伸びて好調な業種です。
(6)小売業
巣ごもり需要により、儲かっている業種は小売業です。
ただし、小売業でもスーパーマーケットやドラッグストアといった必需品や食料品を扱っている業種になります。
一方で、百貨店や大型商業施設などの業種は業績が良くありません。
特に、家で食事を取ることが増えたため、生鮮食品を扱っているスーパーマーケットの販売が伸長しています。
また、生協が行っている宅配サービスも新規入会や注文数も増加傾向です。
(7)ECサービス
ECサービスも巣ごもり消費によって伸長している業種です。
このECサービスとは、主にネットショップのことで、代表的なものは「Amazon」や「楽天市場」があります。
コロナに感染しないために、ネットショッピングをする機会が増えており、特に生鮮食品を扱うネットスーパーが利用される機会が多いです。
このように、人との接触機会が減るようなサービスもコロナ禍で伸長している業種になります。
(8)物流業
ネットショッピングの増加により、物流の動きも活発になっています。
特に、トラックなどの配送業や「ヤマト運輸」などの宅配業はコロナの影響で好調です。
しかし、航空機での配送などは深刻なダメージを受けており、業界全体が活発なわけではありません。
このように、物流業の中でも、好調な企業とそうでない企業に大きく分かれています。
(9)医療品関連
コロナ禍において、非常に好調なのが医療品関連の企業です。
ライフスタイルの変化の一つであるコロナ対策により、マスクや消毒といった一般向けの医療品を製造している会社は特に伸長しています。
今後もマスクなどは必需品となるため、継続して伸長していく予測できる業種です。
4、不況になった業種
コロナによって、不況になった業種はどの業種なのでしょうか?
代表的な業種は以下の5つです。
(1)飲食業
新型コロナウイルスによって、大きな悪影響を受けている業種です。
緊急事態宣言で営業自粛や時短営業などの要請があり、売上が悪化しました。店舗によっては売上が90%以上のマイナスになった店舗もあります。
緊急事態宣言後も、東京を中心に時短要請は継続しており、ライフスタイルの変化と合わさって、大きく売上を落としている業種です。
(2)エンターテインメント業
新型コロナによって、ライブハウスや映画館、遊園地、劇場などのエンターテインメント業が多くが悪影響を受けています。
特に、ライブハウスはクラスターを起こした場所でもあるため、営業自粛を続けている所もある状態です。
また、映画館、遊園地、劇場などは入場制限をかけて、3密にならないように対策を行いながら営業しているため、売上は減少しています。
ダンサーやバンドなどの演者についても、ライブの開催ができないなどの影響がでており、稼げない状態の場合が多いです。
(3)観光業
観光業は都道府県の移動の自粛により、大きな痛手を受けた業種です。
イベントや祭りの中止、来日外国人がほとんどなくなったことで、観光地に来る人数が減少しました。
多くの人が遠方への外出を控えているため、都市部から離れた地方の観光地ほど、旅館やホテル、土産店などの売上が低下しています。
観光業の中でも最も売上が悪化しているのは、インバウンドビジネスで、売上前年比98%減の会社もある状態です。
(4)運輸業
人の移動が制限されたことによって、運輸業もコロナ不況になっています。
最も影響が大きいのが航空会社で、国際便の利用はほとんどありません。
この航空会社の不況は世界中で起きており、オーストラリアのヴァージン・オーストラリア航空やタイ国際航空といった会社が倒産しています。
コロナ前の状態になるには、5年以上かかると想定されており、今後も厳しい状態が続く業種です。
他にも、新幹線や電車の利用客も減っているため、鉄道業も売上を減らしています。
(5)自動車業
国内自動車メーカー大手8社は新型コロナウイルスが拡大し始めた2月以降、部品の調達が難しく、国内の生産ラインをストップしています。
また、コロナ禍で全世界の自動車の需要も減少しており、厳しい状態です。
自動車メーカーの苦戦により、部品メーカーも痛手をおっており、自動車業全体で厳しい状態が続いてくと、予想されています。
コロナの影響で受けられる対策について詳しくは下記の記事を参照にしてみてください。
5、コロナ禍にはM&Aのチャンスがある
ここまで説明してきたように、新型コロナウイルスによって、ライフスタイルが変化し、さまざまな影響を与えました。
それはM&Aにとっても同じです。
M&Aは急な不況が起きると、先行きやリスクが予想しづらいため、案件数が減少します。
これは、リーマンショック時にも同じ現象が起きました。
一方で、チャンスでもあります。
なぜなら、買取価格が低下し、本当に欲しい優良な企業を買い取れる可能性が高くなるからです。
このように、コロナ禍において、M&Aは悪い事だけでなくチャンスも多くあります。
では、他にどのようなチャンスがあるのかも紹介していきます。
(1)不況になった業種の中にはM&Aを望む企業も多い
コロナ禍において、不況になった業種の中には、M&Aを望んでいる会社は少なくありません。
例えば、廃業を考えているが、従業員の就職先の不安などで、廃業に踏み切れない会社です。
この場合は、M&A先が、従業員の処遇を考慮してくれるならM&Aを受け入れてくれます。
このように、不況によって廃業を検討している会社は、M&Aに大きなメリットを感じているので、M&Aが成功する確率は高いといえます。
(2)5月は銀行貸出残高が史上最高の伸び率に
全国銀行協会は、銀行の貸出残高が531兆6013億円と、前年比が6.4%伸長し、史上最高の伸び率になったと発表しています。
史上最高を記録した理由は、新型コロナウイルスの影響で業績が悪化した企業の資金繰りを支えるための融資が増加したためです。
この影響で、企業に十分な融資がされているため、多くの企業が資金面の問題をクリアしたことから、M&Aを実施しやすい状況になっているといえます。
赤字会社でもM&Aにて売却できるケースが多いので、売却を検討されている方は、下記の記事を参照にしてみてください。
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赤字会社の売却含め、ご相談いただければと思います。
まとめ
コロナ禍において、M&Aのチャンスは決して少なくありません。
しかし、このチャンスを活かして、より良いM&Aにするためには、本当に必要な会社かどうかを見極める必要があります。
そのためには、M&Aを考えている業種が、コロナ禍においてどのような状態であるのかを把握する事が重要です。
この記事では、コロナ渦で儲かった企業や不況の企業まで詳細にご紹介しているので、参考にしていただけたら幸いです。
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