「組織コンサルティングの識学」として、識学をご存知な方は多いのではないでしょうか。
識学の初めてのM&Aとして、2019年7月に元TIGALA社より月額制M&A法人コンサルティング事業を買収し、ご自身で実際にM&Aを行うことができるという高レベルを目指す「M&A顧問トレーニング」事業をスタートしたのです。
M&Aの仲介に参入する会社が増えている中で、識学は全く違うポジションとなるM&Aトレーニング事業を買収した経緯、PMIの大変さ、今後の事業の方向性などについて株式会社識学の取締役副社長梶山 啓介(かじやま けいすけ)さんにお話を伺いました。
M&Aを検討されている経営者の方、M&Aの知識を学習したい方、M&Aトレーニングにご興味がある方はぜひ最後までお読みください。
1、M&Aトレーニング事業を買収した経緯は?
八木:「組織コンサルティングの識学」として知られている御社ですが、M&Aトレーニング事業を買収した経緯を伺いできますか?
梶山さま:自社で事業拡大に向けてM&Aを検討していた中で、今までM&Aをしたことがなく、当然ノウハウもなかったので、代表の安藤が周りの経営者の方にM&Aについて色々と情報収集をしていました。情報収集をしていく中で、意外にみなさんは手探りでM&Aをされていることに気づき、せっかくやるなら正しくM&Aの知識を身につけたい、M&Aの理論を学びたいと思ったのがきっかけです。
八木:みなさんはM&Aを手探りでやっていたのは驚きですね。
梶山さま:経営者ご自身でM&Aの知識を持っている方はまだ少ないのが実情です。そもそも経営者を対象としたM&Aトレーニングサービスがなかったというのも1つの原因だと思います。そこで安藤はそのサービスを提供できたらと考えていたところ、交流会で元TIGALAの代表正田さんに出会いました。元TIGALA社はM&Aの仲介事業をやりながら、M&Aのトレーニング事業もやっていて、安藤が感じていたM&Aの課題は正田さんが事業としてやっていたのを知り、話しをスタートしました。
色々と話を進めている中で、正田さんが持っているM&Aのノウハウと、弊社が持っている育成ノウハウと融合し、M&Aのノウハウを体制にしていくことができると判断し、買収に至りました。
2、「無形商材」を事業譲渡で受ける難しさ
八木:M&Aの成敗を大きく左右するのがPMI(M&Aを実施したあとに行われる事業や事業経営の統合のことを言います)だと言われていますが、御社はPMIにおいて苦労したことありましたでしょうか?
梶山さま:今回の事業においては、先方では組織を持っていなかったので、組織という観点のPMIの必要性はなかったですが、譲渡してもらうものがM&Aノウハウという無形商材なので、そのノウハウをしっかり譲渡できるマニュアル化の話しと、我々の方でそのノウハウをきちんと落とし込めるかの部分が肝でした。
八木:ノウハウという無形商材の難しさですね。
梶山さま:M&Aノウハウという見えないものの譲渡だったので、どこまで譲渡できたかの判断は最初わからなかったですね。その手探りの部分もあったので、やりながら苦労しました。
今回の事業譲渡で大変だったのは2つです。1つ目は「無形商材のスキーム変更」です。
譲渡方法として当初株式譲渡を検討していたが、途中で事業譲渡に変更となりました。その理由は事業譲渡をすることによって、のれん代の節税効果が大きいからです。しかし、この節税効果があるのは最初は知らなかったから、やりながら学びましたね。
八木:株式譲渡ではできない節税方法ですね。
梶山さま:この節税効果を知ってから、弊社は今検討しているM&A案件はすべて事業譲渡に切り替えています。実はこういう節税ノウハウを知らない経営者の方も多いですよね。その理由としては、実務上ではM&Aの仲介は株式譲渡のスキームをすすめてくるのが一般的なのと、事業譲渡の場合は、売手側の経営者は個人名義で所得を受け取ることができないので、その計算が複雑になるなどが挙げられます。このようなノウハウは弊社のトレーニングですべてお伝えします。
八木:知ってるのと知らないのは大きく違います。
梶山さま:2つ目は「契約条項をきちんと盛り込む」ことです。
当初は株式譲渡のスキームで話しを進めていたから、正田さんはパートナーとして事業に参画する話しでしたので、正田さんがいる前提でサービス設計をしていました。しかし、途中から事業譲渡にとスキーム変更となったから、業務委託という契約条項となり、色々と想定していたことと異なり、状況整理するのに2ヶ月以上かかりました。
八木:譲渡方法が異なれば、譲渡される中身も大きく変わりますね。
梶山さま:M&Aのスキルがあるならともかく、M&Aの手法が変わったことによって、どんな違いが生まれるのか私自身も把握ができてなかったのが大きかったです。
このM&Aトレーニングを受けて、自分も講師になってから初めてその違いが分かって、見えないものを落とし込む責任を明確にすることが重要です。
3、PMIで注意すべきポイントは?
八木:梶山さまは今回のM&AトレーニングのPMIで非常に苦労されたと思いますが、ご自身の経験を踏まえてPMIで注意すべきポイントを教えてもらえますか?
梶山さま:大きく2つだと思っています。1つ目は「社内の責任を明確すること」です。
PMIだけの責任者ということは成立しないので、契約の段階の責任者がPMIの責任者になるべきだと思います。経営者は全体の責任者で、実務の責任者として契約からPMIまでする人がもうひとりにするべきです。一貫して見る方が必要です。
今回の事業譲渡は、話を持ってきたのは代表の安藤で、私はPMIの時にバトンダッチされて、実務の交渉時は入っていなかったので、色々と大変だったと思います。
八木:PMIをスムーズに進めるには、M&Aの交渉から担当すべきとのことですね。
梶山さま:2つ目は「売手と買手の責任の所在の明確化」です。
M&Aにおいては売手も買手も対等な立場であり、買手側にすべての責任があります。売手側に協力者として協力してもらいながら、成功させる事が重要です。M&A仲介会社に依頼している場合は、仲介会社が責任を担ってくれると思われている方もいますが、万が一失敗してもその責任は全て買手側にあります。
従って、M&Aトレーニングにてノウハウを身に付けることは非常に重要なのです。
4、M&Aで成功するには、経営者ご自身に知識があるかどうかが重要
八木:7割以上の方はM&Aで失敗していると言われています。M&Aで成功するには重要なポイントを教えてもらえますか?
梶山さま:M&Aをする経営者は「成功」を目指しています。そのため、M&Aは当事者である経営者にM&Aのリテラシーを高める必要があり、自分の身は自分で守るしかないです。
八木:自分の身を守るには、ご自身にM&Aの知識が必要ということですね。
梶山さま:そういうことです。本来であればM&Aを検討する場合は、まずご自身の方でM&Aについての知識を身に着けて、自分でコントロールしながら、M&Aの仲介会社にサポートしてもらうという位置づけで依頼すべきですが、現状ではみなさんはほとんどM&Aの知識がない状態で進もうとして、どうしたらいいのかがわからないから、仲介会社に依頼しているケースがほとんどです。
そうすることによって、本当に自社にとって必要なM&Aなのかの判断ができず、言われるがまま進めることになるので、失敗するケースが増えています。
八木:仲介会社に依頼することが悪いわけではないですが、責任は経営者である自分にあることをきちんと理解した上で進めることが大切とのことですね。
梶山さま:そのためご自身にM&Aの知識が必要です。これからM&Aを検討されている方には、M&Aを始める前に弊社のM&Aトレーニングを受けることをスキームに加えていただき、そのノウハウを活かしM&Aで成功して頂きたいと考えています。
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