M&Aには、財務、法務、税務など幅広くの専門知識が必要な上に、買手会社と売手会社がスムーズに成約ができるよう売却価格の交渉、スケジュール調整などの役割を担ってくれるのはM&Aアドバイザーです。
M&A業界の成約件数は8年連続増加し続け盛んになった今、多くのM&A仲介会社が参入してきました。選択肢が増えたのはいいものの、どこの会社に依頼したらいいのか、本当にスキルがあって、信頼できるアドバイザーをどのように探したらいいのかと、悩まれている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、M&Aアドバイザーの具体的な役割と、信頼できるM&Aアドバイザーの選び方について書いていきます。これからM&Aアドバイザーを探されている方は、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。
1、M&Aアドバイザーとは?その役割は?
M&Aアドバイザーとは、M&Aの契約が成立できるようアドバイスをし、契約をまとめる役割を果たしてくれます。わかりやすく言えば、M&Aのスペシャリスト、専門家という位置づけです。
具体的には下記のような役割があります。
- (1)買収・売却の戦略立案
- (2)ターゲット会社の選定・調査会社の評価
- (3)市場・業界規制などの調査
- (4)対象会社への打診
- (5)NDA締結
- (6)買収監査・売却監査に必要な専門家の調整
- (7)デューデリジェンスの対応
- (8)成約に向けての最終交渉、契約書類作成
2、M&Aアドバイザーには2つの形式がある
M&Aアドバイザーには、大きく2つの形式があります。
(1)アドバイザリー形式
アドバイザリー形式は、売手会社、もしくは買手会社のどっちかのアドバイザリーになり、アドバイスを行うことです。
(2)仲介形式
一方、仲介形式の場合、売手会社と買手会社の間にたち、中立的な立場から売手会社と買手会社に同時にアドバイスをすることです。
3、信頼できるM&Aアドバイザーのチェックポイントは?
冒頭にも書きましたが、M&Aアドバイザーは財務、法務、税務など幅広くの専門知識が必要な上に、成約ができるよう売手会社と買手会社と様々な交渉や調整を担う非常に重要なポジションです。
また、M&Aの取引価格も実に大きい金額の案件が多く、売手会社にしても、買手会社にしても失敗ができません。しかし、M&Aの成功率は3〜5割だと言われていて、逆に言えば、5〜7割の会社は失敗しているのです。
信頼できるM&Aアドバイザーを見つけることが、どれほど大切なのかを分かって頂けたでしょう。その信頼できるM&Aアドバイザーのチェックポイントは大きく3つ挙げられます。
(1)コミュニケーション能力
上記「1、M&Aアドバイザーとは?その役割は?」のM&Aアドバイザーの役割を見ていただければ分かりますが、M&Aアドバイザーは折衝、交渉業務もたくさん入っています。
買手会社を探す、売手会社を探すから始め、
- 両社のトップ面談設定・対応
- 取引価格の調整
- 取引条件の折衝
- 最終監査の調整・対応
- 最終取引価格の調整
いかにM&Aをスムーズに進めるために売手会社と買手会社、双方と交渉することが非常に大きな役割です。その交渉には高いコミュニケーション能力を要します。
売手会社はいい条件で売却したいのと同時に、買手会社はいい条件で買収したいです。お互いに納得にする条件で契約するには、全てM&Aアドバイザーにかかっていると言っても過言ではありません。そのため、専門知識と同時に高いコミュニケーション能力も必要となるのです。
ご自身との面談の時に、コミュニケーション力はぜひ一つの判断基準として確認するようにしましょう。
(2)財務、法務などの専門知識
M&Aには、コミュニケーション能力と同時に必要なのは財務、法務などの専門知識です。
- 売手会社の企業査定
- 会社紹介資料の作成
- 契約書の作成
など、実務を行いつつも会社の財務表などの資料を見て
- 本当にM&Aを行うタイミングなのか
- どのM&A手法がいいのか
と専門知識がないとそもそも提案すらできないのです。
もちろん、最終デューデリジェンスの時は、公認会計士、弁護士とそれぞれの分野の専門家に対応してもらいますが、一般的にはM&Aアドバイザーは簿記2級以上の知識を持っている方がほとんどです。
(3)取引実績
売手会社を担当しているM&Aアドバイザーは、業界特化して担当している場合が多いです。業界を特化しているため、その業界の動き、流れなどについて詳しく把握しています。
例えば、2018年は3,850件のM&A契約案件があるうち、なんとIT業界だけで成約件数は1,000件を超えました。つまり、IT業界は今は最も盛んにM&Aを行っているのです。IT業界に特化している担当者であれば、M&Aが盛んになった背景、売却価格の相場など全て把握しているので、売却するタイミング、買収を検討しそうな売却先を適切に提案してくれます。
4、銀行のM&Aアドバイザーの活用方法は?
M&Aを行っている銀行も多く、中にはM&Aの専門部門を設けている銀行もあります。
しかし、銀行が対応するM&A案件の金額は、一般的には10億以上を対象にしているケースが多いため、中小企業のM&A案件は適していないと言えます。銀行のM&Aアドバイザーには、ファイナンスの相談でぜひ利用してみてください。
(1)ファイナンスの相談
M&Aを行う際に、キャッシュを出せるのはいいですが、ほとんどの会社はファイナンスを調達するでしょう。
M&Aにおいて、ファイナンスの調達方法は大きく2つの方法があります。
- ①買手会社を担保に借りる「コーポレートファイナンス」
- ②売手会社の資産を担保にする「ノンリコースファイナンス」
それぞれにメリットとデメリットがありますので、詳しい内容について会社を買いたい記事を参照にしてみてください。
(2)買収先の評価を参考する
銀行はファイナンスの審査にする時に、必ず返済できるかどうかの調査をしています。こちらからの希望融資金額が出た場合、銀行からしては回収できると判断したからであって、逆にファイナンスがおりない場合、その買収自体を考え直すべきでしょう。
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まとめ
今回はM&Aアドバイザーについて書きましたが、参考になりましたでしょうか。
M&Aで成敗するには、M&Aアドバイザーのスキル、コミュニケーション能力などに大きく関わりますので、ぜひこちらの記事を参考に、信頼できるM&Aアドバイザーを見つけましょう。
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