M&Aにおいて、デューデリジェンスはM&Aで成敗に関わる非常に重要なプロセスとなっています。
こちらの記事をお読みの方の中で、デューデリジェンスという言葉を聞いたことがあるものの、実際にどのようなことが行われるかについて詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、デューデリジェンスで行う具体的な作業、注意すべきポイントなどについて書いていきます。M&Aの成敗はデューデリジェンスにかかっていると言っても過言ではありません。これからM&Aを検討されている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
1、そもそもM&Aにおけるデューデリジェンスとは
デューデリジェンスとは、英語ではDue Diligenceと書き、Dueは適正、公正の意味で、Diligenceは努力、注意を払う意味で、Due Diligenceは適正で努力して注意を払う意味です。
M&Aにおけるデューデリジェンスとは、買手会社はデューデリジェンスを実施することによって、売手会社の経営状態、潜在しているリスク、問題点などを注意払いながらチェックを行うことです。
デューデリジェンスは最終契約の前に実施されて、M&Aが成敗する最も大切なプロセスを言えます。
2、デューデリジェンスで具体的な作業内容とは
では、デューデリジェンスでは具体的にはどんな作業内容があるのでしょうか。
大きく下記5つのデューデリジェンスを行われます。
(1)財務デューデリジェンス
財務デューデリジェンスでは、公認会計士がメインに行われます。
- 直近3期の決算書
- 直近3期の税務申告書
- クライアントとの契約書
- 借入れの契約書
- 資産の評価
- 簿外債務の精査
- 株主総会議事録
など、売手会社の財務状況を詳しく調査し、最終的に買収価格を算出します。
なお、財務デューデリジェンスでは、賃貸対照表に記載されていない簿外債務を洗い出すことも重要な役割です。
未払い給与、退職金など将来に発生するであろうと、潜在している債務を把握することによって、予想外の出費による損失を防ぐことができます。
また、M&Aを実施する前の税務申告や実施後にかかる税金などについても調査します。
(2)法務デューデリジェンス
法務デューデリジェンスでは、弁護士をメインで実施されます。
- 現在の債権債務状況の確認
- 労務問題
- 退職金など将来発生するかもしれない債務債権
- 訴訟記録
など、売手会社は法律上のリスクをチェックします。
(3)ビジネスデューデリジェンス
ビジネスデューデリジェンスは、一般的にはM&A仲介会社の担当者がメインに担当されます。
M&Aを実施することによって、商品、サービスの将来性、それらを買収することによって自社が得られるシナジー効果、収益力を調査し判断します。
(4)人事デューデリジェンス
M&Aにおいて、会社を買収した後に人材流出されるケースが非常に多いです。中には優秀な人材を獲得することを目的に、会社を買収した買手会社も多いので、人材が流出されてしまったら失敗で終わります。
そうならないため、自社の人事制度、労使関係などをスムーズに融合する必要があります。様々な条件や仕組みのすり合わせするために人事デューデリジェンスが行われています。
(5)ITデューデリジェンス
売手会社の管理システム、情報システムをそのまま使えるのか、自社のシステムとの統合でかかる費用などを調査するのがITデューデリジェンスです。
ITの専門家が担当されるケースが多いです。
(6)その他デューデリジェンス
上記5つのデューデリジェンスの他に、下記デューデリジェンスは売手会社の状況に合わせて行われています。
- クライアントデューデリジェンス
- 特許など知的財産デューデリジェンス
- 不動産デューデリジェンス
- 技術力デューデリジェンス
など。
デューデリジェンスを行うことによって、
- 売手会社の現在の組織のままで、事業計画通りの数字達成できるのか?
- 今後の経営の課題点とは何か?
- 期待していた重要業績評価指数(KPI)は達成できるのか?
- 同業他社に勝てる強みはなにか?改善すべき弱みとは何か?
総合鑑定の結果に基づき、役員の交代交渉、買収価格の調整などを行う場合もあります。
3、デューデリジェンスをする買手会社の注意点は?
デューデリジェンスでは、買手会社の注意点としては、決算書、契約書などに明記されている情報の他に、簿外債務など潜在的なリスクを全て洗い出すことが重要です。
リスクを洗い出すことができれば、事前に対策を講じることことができ、万が一損失が出たとしても、最小限におさえることができます。
4、デューデリジェンスを受ける売手会社の注意点は?
一方、デューデリジェンスを受ける売手会社の注意点はなんでしょう。
(1)社員などに察知されないこと
デューデリジェンスは売手会社の内部で行われます。その際に社員などに察知されずに、スムーズに行うことが重要です。
(2)短期間で終わらせるよう協力すること
デューデリジェンスの期間が長ければ長いほど、社員などに察知される可能性が大きくなります。そうならないよう、できる限り買手会社がデューデリジェンスで必要とする資料をきちんと準備するなど、協力する姿勢でデューデリジェンスを短期間で終わらせることを目指しましょう。
5、デューデリジェンスを成功させるポイントは?
上記「2、デューデリジェンスで具体的な作業内容とは」の内容を読んでいただければわかりますが、デューデリジェンスの作業内容は専門分野ばかりです。従って、デューデリジェンスで成功させるには、専門分野は信頼できる専門家に依頼することが重要です。
ご自身で専門家に依頼する場合は、M&Aにおける実績もきちんと確認してください。なぜならば、M&Aの分野はまだ浅いので、M&Aには通常の業務とは異なるノウハウやスキルが必要とされますので、きちんとM&Aの実績を確認した上で依頼するようにしましょう。
なお、M&A仲介会社に依頼されている場合は、M&A仲介会社の方から各分野の専門家を用意してくれます。
6、デューデリジェンスの期間は?
デューデリジェンスの期間はどれくらいかかるでしょうか。
一般的には、非上場会社、中小企業は大体1ヶ月前後で、上場企業は3ヶ月前後が目安だそうです。
もちろんケースバイケースなので、調べる情報が多い場合長引くこともあるでしょう。
7、デューデリジェンスの費用は?
会社規模によってデューデリジェンスの工数が変わりますし、全てのデューデリジェンスに専門家を依頼するのか、1分野のみ依頼するのかによっても費用が大きく異なりますので、一概に言えません。
調査する範囲が広ければ広いほど費用もかさみますので、優先順位を立ててご予算に合わせて依頼されるといいでしょう。
M&Aの相談先について詳しくは下記記事を参照にしてみてください。
なお、M&A仲介会社にてデューデリジェンスを行う場合、数十万〜数百万が相場だそうです。決して安い金額ではないため、きちんと信頼できるM&A仲介会社を選ぶことが重要です。
信頼できるM&A仲介会社の選び方は詳しくは下記記事を参照にしてみてください。
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まとめ
今回はM&Aにおいて最も重要なプロセスであるデューデリジェンスについて書きましたが、参考になりましたでしょうか。
M&Aの成敗に大きく関わっていますので、きちんと専門家に頼って、慎重に行うようにしましょう。
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