完全成功報酬制 | インテグループ株式会社 代表取締役社長 藤井 一郎

「顧客志向のM&A仲介会社になるには、完全成功報酬制しかない」と話しているのは、インテグループ株式会社の代表取締役社長 藤井 一郎(ふじい いちろう)さんです。

着手金、中間金など様々な料金体系があるM&A仲介業界ですが、藤井代表は2007年の創業時から成約しなければ報酬はいただかず、完全成功報酬制でM&Aを支援しています。

今回は、10年以上M&A業界にいらっしゃる藤井代表にM&A業界の動き、完全成功報酬制に対する思い、失敗しないM&A仲介会社の選び方、実際にM&Aの進め方などについて伺わせていただきました。

1、中長期的には今後も日本のM&Aの件数は間違いなく増えていく

八木:10年以上M&A業界にいらっしゃる藤井代表に、M&A業界の過去・現在・将来についてを伺いできればと思います。

藤井代表:この十数年を振り返ってみると、2008年のリーマンショック前は日本のM&Aの件数が伸びてきていましたが、リーマンショックで一度がくっと件数が減りました。その後は、2011年に東日本大震災がありましたが市場全体にはそれほど大きな影響はなく、件数を順調に伸ばしてきたと言えます。

M&Aの件数は短期的には景気と正の相関関係があります。今後の景気動向によっては、一時的に件数が下がることもあると思いますが、後継者不在の問題の深刻化しており、またM&Aが日本経済にますます浸透してきているので、中長期的には今後も日本のM&Aの件数は間違いなく増えていくと考えています。

2、「完全成功報酬制」の料金体系を採用した藤井代表の思いは?

八木:着手金、中間金などの料金体系を設定されている会社も多く見受けられますが、「完全成功報酬制」の料金体系を採用した藤井代表の思いを伺いできますか?

藤井代表:顧客志向のM&A仲介会社になるには、完全成功報酬制しかないと思い、2007年の創業時から成約しなければ報酬はいただかず、完全成功報酬制でM&Aをご支援させていただいています。

完全成功報酬制が顧客、特に売り手に与えるメリットについてお話しますと、まずM&Aが成立しなければ、報酬を払わなくても良い。これがもっとも分かりやすいメリットです。着手金や多額の中間金をとられても成約せず、泣き寝入りしている経営者が本当に多くいます。

次に、そもそも着手金や中間金をとる仲介会社とは付き合わないという買い手が一定割合いますので、打診企業が制限されてしまいます。完全成功報酬制ですと、打診できる会社が制限されずより多くの会社の中から打診企業を選べます。

また、着手金をとる仲介会社は、売り手からだけでなく、買い手からも着手金をとりますが、買い手としては自社以外に10社も20社も買収を検討している状況だと、買収できる可能性が非常に低いわけですから、着手金を払おうとしません。

そうすると、仲介会社としても、一度に多くの買い手に当たると着手金がとれないので、2~3社とか極めて少数の会社にしか一度に打診できないのです。これだと、競争原理が働かないので、結局良い条件が出てきません

その中で、もし条件提示があれば、仲介会社から決断をせまられるわけですが、少数の会社にしか当たっていないので、これが本当に良い条件、良い相手先なのか納得感がないですよね。それで決断できなければ、また2~3社に当たるということを繰り返し、売却活動が長期化してしまいます。

着手金をとらない弊社の場合は、売り手から打診許可をいただいた買い手候補企業が例えば50社あれば、50社同時に当たっていきます。そうすると、その中から10社手があがって面談をして、例えば6社が条件提示することになれば、競争原理が働いて良い条件が出てきやすくなりますし、条件以外にも相性やシナジー等を検討して、短期間のうちに、売り手主導で最も良い買い手を選定することができます

これが、完全成功報酬制の一番のポイントであり、売り手の一番のメリットです。

会社を売却するということは、経営者にとって一生に一度あるかないかであり、ほとんどの経営者にとっては経験のないことです。

だから、売却を依頼する経営者と仲介会社の間には、情報の非対称性がありますので、仲介会社のいいなりにならないように、経営者は自ら情報を精査していく必要があると思います。

着手金や中間金をとる仲介会社にいまだに依頼しているようだと「情報弱者」と言われても仕方がない時代になってきていると思います。

3、「しっかりと利益が出ているかどうか」を見極めるのが相談条件

八木:御社は様々な業種のご成約実績があり、日頃から多くの会社から問い合わせが来ていると思いますが、御社は案件を受ける、受けないなどの条件設定はありますでしょうか?

藤井代表:業種、規模、成長性等によりますので、受ける、受けないについては厳密な条件設定はありません。様々な要素を考慮して、弊社で良い相手先を探せそうかを判断して、決めています

着手金をとる仲介会社の場合、コンサルタントが2~3ヵ月売上を立てられていなければ、営業プレッシャーの強い仲介会社が多いので、そのようなコンサルタントは、成約できる見込みが薄くても、着手金欲しさに売却依頼を受ける傾向が強いと言えます。

先ほど厳密な条件設定はないと言いましたが、あえて分かりやすい基準を言いますと、やはり「しっかりと利益が出ているかどうか」だと思います。

オーナー企業ですと、役員報酬を多くとったり、生命保険等で節税していることも多いので、過大役員報酬や節税分を利益換算して、実質的な利益が出ているかどうかということです。やはり赤字の会社を買収したいところはほとんどありませんので。

4、失敗しないM&A仲介会社を選ぶ3つのポイント

八木:M&A業界が盛んになり大変いいことだと思いますが、資格も必要ないことから、様々な業種が参入してきました。数多くあるM&A仲介会社の中で、失敗しない会社を選ぶポイントがありましたら、ぜひ教えていただきたいです。

藤井代表:まず「業歴がそれなりにあって成約実績が豊富なところ」が絶対条件だと思います。

ただ、実績はHPにも虚偽の記載をしているところもあるので、注意が必要です。弊社の成約実績を参考にして匿名でHPに実績として記載していた新興のM&A仲介会社もあり、抗議して削除してもらったこともあります。

なお、実際に売却した経営者のインタビューがいくつも自社HPに実名で載っているようなところは嘘はつけませんから、本当に実績があるところだと考えてよいと思います。

次に、先ほど申し上げたような、「売り手主導で買い手を選定できるビジネスモデルになっているか」ということです。

相手はどこでもよく、条件にもこだわらないということであれば、どこの仲介会社に依頼しても、成約する可能性は高いと思いますが、やはりご自身が育て上げた会社を託すわけですから、相手先は売り手主導で慎重に選ぶべきだと思います。

最後に、「コンサルタントとの相性」も大事だと思います。数ヶ月は密な付き合いをすることになるので、実際に会っていろいろな質問をしてみて、信頼できるか、成果を出してくれそうかを見極めるべきだと思います。

インテグループについて更に詳しく知りたい方は下記記事を参考にしてください。

5、M&Aの最初の1歩を踏み出すには?

八木:事業承継から始め、若手経営者によるM&Aに対する需要はこれからますます増えていくのではないかと思いますが、「自分の会社なんか売れないよ」など勝手な思い込みやM&Aに対する馴染みがないことから、スタートの1歩をなかなか踏み出せない経営者も多くいらっしゃるでしょう。ノウハウが豊富な藤井代表にM&Aをどのように進めたらいいのか、最初の1歩をどのように踏み出したらいいのかと、ぜひアドバイスをいただけたらと思います。

藤井代表:まずは、M&Aの専門家や仲介会社に、

  • 自分の会社は売却できそうか
  • 売却できるとすればどれくらいの価格がつきそうか
  • どういう候補企業がいるか

を問い合わせてみるのが良いと思います。

着手金を払わないと、そういう情報を提供してくれないところもありますが、弊社のように無料でそのような情報を提供しているところも結構あります。

その上で、いますぐ売却活動をするのか、将来売却活動をするのか、将来の売却を視野に入れるならどのようなことに留意して経営をしていけば良いのか等の参考情報を得るのが良いと思います。

弊社に限らず、仲介会社に相談したからといって、依頼しなければいけないということは全くありませんので、そのあたりは安心していただいてよいと思います。

またセカンドオピニオンを得るという意味でも、複数の仲介会社に相談してみても良いと思います。例えば、1社は老舗で実績豊富ですが着手金・中間金もかかる最大手の仲介会社に相談して、もう1社は完全報酬制のM&A仲介のリーディング企業である弊社(インテグループ)に相談してみるのはどうでしょう(笑)

実際そのようなお客さんもかなりいらっしゃって、弊社は、最大手の仲介会社と競合することが一番多いです。ただ、ありがたいことに、弊社調べでは、両社に相談したお客さんの8割以上(売却活動をしなかった会社を除く)が弊社に依頼していただいています。

あとはM&Aはタイミングが重要です。業績が右肩上がり、横ばい、右肩下がりで比べると、明らかに右肩上がりの時が多くの買い手から手があがり、良い条件が出ます。

欧米では、会社は業績が良い時に売却するというのが当たり前ですが、日本では、まだまだ業績が悪くなった時に売却を考える経営者が多いです。それが、日本のM&Aがいまだに欧米並みの水準に達していない一因だと思います。

既に日本でも大企業においては、買収は経営戦略の一つの手段として定着してきた感はありますが、これからは起業家も、戦略的にタイミングも考えながら、M&Aによる売却を選択肢として常に持っておくべきだと思います。

藤井代表への相談フォーム

藤井代表に会社売却、事業承継などM&Aに関連する相談をしたい方は、下記相談フォームよりご連絡ください。

八木チエ

八木チエM&A INFO プロデューサー

投稿者プロフィール

大学卒業後、7年間IT会社の営業を経験し、弁護士事務所に転職。
弁護士事務所で培った不動産投資の知識を活かし、業界初の不動産投資に特化したメディアを立ち上げ。2018年に株式会社エワルエージェントを設立。不動産投資「Estate Luv」、保険「Insurance Luv」などのメディア運営やメディアのコンサル事業に特化。
M&A業界が盛んになった今、M&Aの情報を正しく伝えたい、もっと多くの人にM&Aの魅力を知ってもらいたいと思い、M&Aに特化したメディア「M&A INFO」を立ち上げ。より有益な情報を多く配信している。

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