M&Aに対して会社を売却、会社を買収するというイメージを持たれている方が多いのではないでしょうか。
実は、M&Aは様々な目的を達成できるよう、いくつもの手法があります。自分の会社がなぜM&Aをするという目的を明確にした上で、その目的を達成できる手法を選ぶ事が重要です。
そこで今回は、M&Aを活用できる手法と、実際にM&Aをする時のプロセスについて書いていきます。M&Aを検討しているけど、どの手法がいいのかで迷われている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
1、M&Aする目的を明確にする
M&Aで成功するには最も重要なのは、
- なぜM&Aをするのか
という目的を明確にすることです。
- 会社の成長スピードを早めたい
- 新規事業の資金が欲しい
- 新しい分野に進出したい
- 新しい技術が欲しい
など様々な目的があると思いますが、その目的によって手法も異なり、売却先もしくは買収先の選定基準も異なってきます。
実際に、お付き合いがある金融機関から勧められた、M&A仲介会社の担当に勧められたからM&Aを行った会社もあります。結局、勧められたからしただけであって、きちんと明確した目的を設定しなかったから、失敗した会社も少なくありません。
そうならないように、明確した目的を必ず決めるようにしてください。
2、M&Aをする7つの手法
では、続いてM&Aをする7つの手法について書いていきます。
(1)会社の全部を譲渡する「ぶらさげる」方法
会社ごとを切り出す方法になり、売手会社はそのまま法人格は保たれることができます。
①株式譲渡
株式譲渡は、名前の通りに売手会社の株式を全て買手会社に譲渡することになり、会社の経営を継承させる方法のことです。
M&Aにおいて、もっとも多く使われている売却方法です。
②株式交換
株式交換は、買手会社と売手会社の株式を交換することにより、買手会社の子会社になる売却方法です。
なお、株式の交換レートに関しては、必ずしも1:1とは限りません。
例えば、買手会社の株価は売手会社の株価の3倍の場合、売手会社の3株で買手会社の1株と交換することになります。株式交換比率について詳しくは株式交換比率の記事を参照にしてみてください。
なお、株式交換の契約にて決定した日程にて効力が発生します。株式交換について詳しくは株式交換の記事を参照にしてみてください。
③株式移転
株式移転は、持株会社を新しく設立して、その会社に買手会社と売手会社の株式を持ってもらう方法です。
これにより、買手会社と売手会社は兄弟会社となります。
(2)会社の一部を譲渡する「切り出す」方法
続いて、売手会社の一部を切り出して、他の会社の一部事業などとくっつける2つの方法をご紹介します。
方法によって、切り出した事業に関わる法的関係で保つ、もしくは遮断されることになります。
①事業譲渡
事業譲渡とは、売手会社の事業を買手会社に譲渡する方法です。
譲渡できる事業としては、人材、技術、ブランド、取引先など会社に関連する全ての財産です。
事業の一部のみ譲渡するのもできるし、全事業を譲渡することもできます。事業譲渡について詳しくは事業承継の記事を参照にしてみてください。
②会社分割
会社分割とは、売手会社の事業の一部、もしくは全部の事業を切り出して、買手会社に移転する方法です。
なお、会社分割は大きく2つの方法があります。
■新設分割
新設分割は、新しい会社を設立して、切り出した事業を譲渡する方法です。
■吸収分割
吸収分割は、すでに設立されている買手会社に切り出した事業を譲渡することです。
一般的には、経営統合、グループ再編などをメインで多く使われている方法です。
会社分割について詳しくは会社分割の記事を参照にしてみてください。
(3)2つの会社を「くっつける」方法
最後にご紹介するのは2つの会社を「くっつける」、合併という方法です。
合併には、2つの方法があります。
①吸収合併
吸収合併とは、売手会社が買手会社に全ての財産を譲渡し、売手の会社を解散する方法です。
一般的には、売手会社より大きい規模の会社に吸収されるケースが多いです。
②新設合併
新設合併とは、売手会社と買手会社とも解散し、2社の財産とも譲渡し、新しい第3社を新規設立する方法です。
吸収合併よりメリットがあまり出せない中で、デメリットの方が多く見受けられる場合が多いため、実績が非常に少ないです。
合併について詳しくは合併の記事を参照にしてみてください。
(4)ファンドに株式譲渡
上記にて、企業に売手会社を譲渡する6つの方法を紹介しましたが、実はファンドに売るという選択肢もあります。
ファンドに売却する場合、以下のメリットが挙げられます。
- ファンド自身が事業を行うわけではないため、事業の独立性を維持できる
- ファンドに経営のプロが多いため、経営戦略や財務など的確なアドバイスをもらうことができる
- ファンドのネットワークが広いため、事業の拡大を繋がりやすい
- 優秀な人材を派遣してもらえる
など。
会社の成長を目指したい方、上場と同様な成長などを目指している会社はぜひ検討してみるといいでしょう。
3、売手がM&Aをする時のプロセス
では、実際にM&Aをする時のプロセスはどうでしょう。先に売手会社がM&Aする時のプロセスを見てみましょう。
大きく以下のプロセスになります。
- 提携仲介契約の締結
- 企業概要書の作成
- トップ面談
- 条件調整
- 基本合意契約の締結
- 買取監査(デューデリジェンス)
- 最終契約
- 社員や取引先、銀行への開示
なお、各プロセスの詳しい内容については会社を売りたい時の記事を参考にしてみてください。
4、買手がM&Aをする時のプロセス
買手会社がM&Aをするときには大きく以下のプロセスになります。
- M&Aのプロに相談する
- NDA(機密保持契約書)を締結する
- 「提携仲介契約書」を締結する
- 売手会社の詳細資料を検討する
- 「トップ面談」を行う
- 買収条件などの条件調整をする
- 「基本合意契約」を締結する
- 買取監査(デューデリジェンス)
- 最終契約
- 社員や取引先、銀行への開示
なお、各プロセスの詳しい内容については買手会社の記事を参考にしてみてください。
5、M&Aで成功する時のポイントは?
せっかくM&Aをするのであれば、成功させたいのはみなさんが思うでしょう。
上記「1、M&Aする目的を明確にする」はM&Aをスタートする前のポイントで、実際にM&Aを行う時と行ったあとにもそれぞれにおさえておきたいポイントがあります。
(1)専門家のサポートを受ける
M&Aを行う時に、きちんと専門家のサポートを受けることをオススメします。
中には、知り合いの会社だからなど当事者同士でM&Aを行う実績もありますが、実際に手続きが完了したあとに
- 契約書に不備があった
- 知らなかった債務が出てきた
などトラブルになったり、思ってたより大金が出て失敗したのケースも少なくありません。
全ての手続きにおいてサポートしてもらわなくても、公認会計士に財務のチェックを依頼したり、弁護士に契約書のリーガルチェックしてもらうなり、それだけでもトラブルのリスクが一気に低くなりますので、専門家のサポートを受けるようにしましょう。
M&Aコンサルティングの役割、信頼できるM&Aコンサルティング会社の選び方について詳しくはM&Aコンサルティングの記事を参照にしてみてください。
(2)引継ぎのプロセスをきちんとする
会社を買収したのはいいけど、買収したあとに
- 経営幹部が転職された
- クライアントが離れた
- 取引先から契約を打ち切りになった
など、売上に大きくダメージを与える事態が起きることも考えられます。
会社を買収することがゴールではなく、その後どのような会社をうまく引き継げるのかもきちんと考えることが大切です。
6、マッチングサイトの利用は?
最近、「TRANBI」「Batonz」「M&Aクラウド」などのM&Aのマッチングサイトが増えました。
売手、買手の両方の情報が登録されているサイトもあれば、買手情報もしくは売手情報のどっちかを登録されてるサイトもあります。そこから自分の会社に合った相手を探してマッチングさせています。
特徴としては、売却価格は「500万円以下」「300万円以下」と売却価格の上限があります。中には「1円」の案件も出ています。また、手数料は
- 買手のみ発生する
- 手数料はかからないけど、契約書などのサポート費用が発生する
などと諸経費をおさえることができるのメリットです。
少額案件にご興味がある方は、活用されてみてはいかがでしょう。
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まとめ
今回はM&Aをする時の手法と実際に行う時のプロセスについて書きましたが、参考になりましたでしょうか。
M&Aで成功するには、ご自身の会社がM&Aをする目的を明確にした上に、それに合った手法を選ぶことが重要です。また、公認会計士、弁護士、M&Aアドバイザリーのサポートもきちんと受けるようにしましょう。
こちらの記事はあなたのM&Aに少しでもお役に立てることができたら幸いです。
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