日本には約7割の企業は後継者がいないなどの理由で、事業承継について悩みを抱えています。
「最近、中小企業の経営者から、事業承継について質問を受けることが多くなってきています」と話しているのは、M&Fパートナーズ法律事務所の弁護士内山 浩人(うちやま ひろと)先生です。
今回は内山先生に「中小企業の事業承継」をテーマに、色々と話を伺わせて頂きました。事業承継について悩みを抱えている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
1、事業承継に向けて準備が進んでいない企業が多い
日本における中小企業の経営者の高齢化の問題もあるでしょうが、近年、事業承継という言葉がポピュラーになり、いろいろなところで耳にするようになったこともあるでしょう。
言うまでもなく、日本には数多くの中小企業があり、その中小企業が日本の成長を下支えしてきたといっても過言ではないでしょう。
しかし、その多くの中小企業で、創業者が高齢化しています。これらの中小企業が廃業となることなく、次の世代に事業をスムーズに承継することが今後の日本経済にとっても重要となってきています。
国の政策としては、税金の優遇措置も始まり、遅れてはいましたが、「事業承継円滑化法」などの事業承継法制も徐々に整備されてきています。
このように国の政策が進む一方、足下の中小企業においては、事業承継に向けての準備がまだまだ進んでいないのが実情です。
2、M&Aについて間違った認識をされている経営者が多い
後継者がいる場合は、それなりに対策を講じている中小企業も少なくありませんが、問題は、「後継者がいない」場合です。
後継者がどうしても見つからない場合、会社を解散するか、M&Aなどを用いて会社を第三者に売却するかという選択になります。
しかし、とくにM&Aについて、間違って理解されている経営者も少なくありません。
私がよく聞くのは、
- 「うちなんか大した会社じゃないから、買うところなんてないよ」
- 「うちは赤字で、金融機関からの借り入れも多いから、売れないよ」
というものです。
現在、会社を買いたいというニーズは、とくに若い起業家の間で高まっています。
これは、一から起業した場合に比べて、「ノウハウの習得」、「人材の確保」、「顧客の獲得」などでメリットがあるからです。
とくに人材確保の点は、大手・中堅の企業でも深刻で、この前も、とある人材派遣企業の社長から、「とにかく人材が足りない、会社ごと買うので紹介して欲しい。人がいればいるほどいい」といったような話を聞きました。
それほど今は人材不足であり、その人材を確保する方法としてもM&Aはとても有用なのです。
つまり、自分の会社に人材がいるだけで大きな価値があることになります。
もちろん、それだけ会社が売れるわけではありませんが、会社のもっているノウハウや顧客など、経営者が「あたりまえ」と思っているものに、大きな価値がある場合があります。
3、高く売りたい場合は会社の価値を高めることが重要
また、買い手が価値があると考えれば、借入金があったとしても売却することは可能であり、その場合、いくらかの金銭を経営者の退職金として受け取ることもできる場合すらあります(ハッピーリタイアといったりします)。
ただ、いくら「赤字でも売れる」「借入金があっても売れる」といっても、すこしでも高く売り、少しでも手元に現金が残るようにするには、会社の企業価値を高める必要があります。
その為には、M&Aの専門コンサルティング会社などに相談し、事業の見直し、無駄な経費の削減などを実施して、企業価値をできるだけ高めてから売却する必要があります。
M&Aを実施するにあたっては、多くの専門家の関与が必要になります。
M&Aに向け、企業価値を高めるためのコンサルタント、実際の売買にあたってのコンサルタント、仲介業者、税務的な側面からサポートする税理士、法律的な側面からサポートする弁護士などです。
どこを入り口として相談するとしても、これら専門家が充実しているところに依頼をすることが大切です。
中小企業を次の世代に承継するにしても、廃業するにしても、その準備には相当時間がかかります。よく経営者は孤独であるといいますが、一人で悩まず、また、後回しにせず、とにかく早めに専門家に相談することをお勧めします。
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