「会社は自分のものではなくいずれは売却する。売却するのであれば、一番事業が伸びる、高く売れる時に売却すべきだ」と話しているのは、株式会社アイドゥの池田 寛和(いけだ ひろかず)会長です。
池田会長は、ご趣味であるBMWのバイク仲間のバイクが盗難にあったことから、大型バイク専用駐車場の需要性に気づき、セキュリティ完備の大型バイク専用月極駐車場を運営する株式会社アイドゥを立ち上げました。
今回は池田会長にサラリーマンから会社を立ち上げ時の苦労話、M&Aをする理由やタイミング、M&Aの仲介会社としてストライクさんを選んだ理由などについてお話を伺いました。
これから会社の売却を検討されている方、売却タイミングで悩まれている方に非常にお役に立てる話しになっていますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
1、会社設立時の事業融資ができなかった?
八木:池田会長はサラリーマンから株式会社アイドゥを起業されたようですが、よくご決心されましたね。
池田会長:バイク仲間のバイクが盗難にあったのがきっかけだったのですが、実は我々が乗っているBMWなどの高級大型バイクは盗難にあうリスクが非常に高いです。そこで、セキュリティ完備の大型バイク専用駐車場の重要性を感じ、起業を決めました。
八木:高級大型バイクはよく盗難にあうのですね。
立ち上げ資金はご自身でお持ちだったでしょうか?
池田会長:事業融資を考えていたのですが、それが全く受けられませんでした(笑)
八木:受けられなかった理由は?
池田会長:私は元々ベネッセコーポレーションに勤めていたのですが、同じ業種を独立する場合は銀行から融資受けられますが、今回は全く違う業種だったため、融資がおりなかったようです。
そこでバイク仲間から共同出資者を募り、事業をスタートしました。
八木:バイク仲間が共同出資者になったのですね。
池田会長:趣味を楽しみながら、収益も得られるということで賛同してもらいました。
事業をスタートし、マーケティングもきちんと行っていたら、どんどん拡大して都内で34箇所も駐車場を作りました。
八木:一気に事業が拡大されたのですね。
2、会社はいずれ売却すると決めていた
八木:順調に事業が拡大していると思いますが、その中で会社をM&Aする、売却することになったきっかけはなんでしょうか?
池田会長:会社は自分のものではないと最初から思っていて、いずれ売却すると決めていました。
事業が大きくなったものの、共同出資者たちが60代になったり、自分も50代になったりしました。万が一事業がうまく行かなくなった時は、若いうちにリカバリーできても、年を取ればなかなか難しい。だから、うまくいっているうちに売却するべきだと思いました。
八木:最初から売却を出口戦略として考えていたのですね。
共同出資者さんも売却に対して賛成だったのでしょうか?
池田会長:最初は反対されましたね。順調に拡大しているタイミングでしたから。
自分の考え方を伝えたところ、いずれ売らないといけないという考え方に賛同してもらい、そのタイミングに売却する場合はどのくらいの金額になるか複数のM&A仲介会社に声をかけました。
八木:きちんと共同出資者さんの同意を取ったのですね。
池田会長:会社も大切ですが、私にとっては友人との友情はもっと大切です。
だから、会社を売却するタイミングは、共同出資者にとっても、働いている社員にとっても、「みんなが幸せになれる!」という前提で考えました。
今でも共同出資者たちと毎月ゴルフをしたり、モンゴルに馬を乗りに行ったりなど楽しくやっています。
3、トップ面談で何回も破綻になったことがある
八木:実際にM&Aをしていく中で、何かトラブルにあったり、交渉で難航したことはありましたか?
池田会長:色々ありましたね。トップ面談で何度も破綻になりました。
八木:どのような理由で破綻になったのですか?
池田会長:基本的に売手は高く売りたいから、いいところをアピールするものの、事業のリスクを隠したがります。しかし、そんなことをしたら売却後にトラブルになるのはよろしくないので、事業のリスクを話して破綻になったり、事業に対する方向性が違ったりすることがありました。
八木:セキュリティをきちんとしていれば、そこまで大きなリスクはないような事業モデルの気がしますが、具体的にはどのようなリスクがあるのでしょうか?
池田会長:高級バイクの駐車場というカテゴリーがこれまでになかったので、事例ないことやバイク特性を知らないと音や管理の問題に対処できないことですね。これを話してしまったため、仮契約まで締結されたにもかかわらず破綻になったケースもありました。
八木:大型バイクならではのリスクですね。
池田会長:中にはちょっとして言葉の行き違いで信頼関係を失ってしまい、破綻になったケースもありました。
八木:なかなか全ての条件を揃えるのが難しいですね。
池田会長:色々と大変でしたが、結果として、共同出資者にも、従業員にもみんなが良かったと言ってくれたので良かったです。
4、いい担当者に出会えたこそいい商談ができた
八木:数多くあるM&A仲介会社がある中で、ストライクさんを選んだ理由はなんでしょう?
池田会長:担当者と信頼関係が築けたことが決め手でしたね。
M&Aの仲介担当者は会社と会社を結ぶことが仕事で、社長と社長の信頼関係で成約するものだから、非常に重要な役割を担っています。
八木:その担当者は仕事ができることの前に人間として信頼できる人だったんですね。
池田会長:機械的に仕事をこなすのではなく、私の要望と考え方を理解してくれた上で、買手を探してくれました。
八木:担当者との相性も非常に大切ですね。
池田会長:そうですね。実際に会社を買ってくれた今の社長である細田さんとも非常に「馬が合う」と感じました。
八木:買手さんとの相性も重要ですね。
池田会長:細田さんはまだ30歳という若手で、金融業界に勤務していたことからM&Aの知識は豊富な方でした。
逆に業界のことや会社経営については経験が少なかったのですが、話していく中で、この事業に対する考え方に非常に共感でき人としての魅力も感じることができたので、最終的に細田さんに決めました。
今でも私は会長として職を残していて、細田さんから様々な相談を受けながら交流し続けています。私だけではなく、共同出資者にも頻繁に連絡を取っていて、毎月ゴルフに行くほど非常にいい関係を保っています。
八木:会社を売却したあとにも、このように交流をし続けるのは本当に理想的な関係ですね。
M&A仲介なしでの取引も増えてきているようですが、池田会長はどのようにお考えでしょうか?
池田会長:仲介がいないところのやり取りは、経営者同士の探り合いの関係になります。信頼関係がないままで話を進めることになるので、私はきちんと仲介担当者に真ん中に立ってもらった方がいいと思っています。
5、会社は伸びる時、高く売れる時に売るべき
八木:せっかく育ってきた会社を売却するなら、できる限り高く売却したいと考えている経営者はほとんどでしょう。しかし、売却するタイミングというのはなかなか判断しにくいもの。会社を売却するタイミングを判断するポイントがあればぜひ教えていただきたいです。
池田会長:やはり高く売れるのは、会社が伸びている時です。最も大きくキャピタルゲインを得られるでしょう。
八木:アメリカのM&Aは会社が伸びている時に売却するのは主流ですが、日本は売却するタイミングを遅れているケースが多いですよね。
池田会長:伸びる時が儲かる時だと考える方が多いですからね。
あとは老後にどんな生活をしたいかを逆算するのも一つ重要なタイミングと言えます。
八木:老後生活から逆算することですね。
池田会長:私のM&A後のライフスタイルとしては、家族、遊び、社会貢献をすることにしています。
バイク仲間と毎月旅行に行ったり、モンゴルに馬を乗りに行ったりなど楽しんでいます。これは今の年だからできることであって、もしあと10年会社を経営していたら、売却してもこのように楽しむことができないですよね。
八木:遊びに時間を当てることはいいですね。
池田会長:あとは家族サービスですね。孫が今幼稚園児で、娘たちに用事がある時は、いつも孫の面倒を見るようにしています。これは仕事をしていたらできないことですよね。
八木:いつでも頼れるのは心強いですね。
池田会長:また、ストライクさんのセミナーに登壇させて頂いたり、そのセミナーに参加された方から講演会の依頼を頂いたり、このように社会貢献もできるようになって、非常に充実しています。
八木:池田会長のお話を伺いして、本当に今の生活を満喫されていることが伝わってきます。
6、まずは自分の会社の価値を明確にする
八木:専門知識が高いM&A。実際に始める時の手順、注意すべきポイント、経験者だからこそ知るコツなどもぜひ教えてください。
池田会長:まずは自分の会社の価値を明確にすることです。それがブランド力なのか、社員なのか。
八木:自社の価値を明確にすることですね。
池田会長:自社の価値をきちんとアピールできることが重要です。
例えばアイドゥの場合は、BtoCの継続ビジネスであり、34箇所は全て独立採算になっていて、駐車場のスペースは賃貸で借りているだけだから、万が一売上が下がって採算が取れなくなったら、賃貸を解約すればいいという非常にリスクが低いビジネスモデルであることが自社の価値のアピールになります。
八木:非常にわかりやすく自社の価値をまとめています。
池田会長:あとは売却タイミングを遅れないことですね。
どんなに魅力的な事業でも、売上が下がる時と伸びる時の価値は全く違うので、そのタイミングを見極めることが非常に重要です。
八木:会社が伸びる時に売却するのは、売り惜しみと思われている方もいらっしゃるでしょう。
池田会長:自分の夢、M&Aをライフスタイルの目標を実現するための軸にするとぶれないです。
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