会社を廃業、廃止、閉鎖するには?手続きの流れとかかる費用について
後継者がいない、経営が難しいなどの理由で、会社の廃業、廃止、閉鎖を検討されている方もいらっしゃるのでしょうか。
実は後継者がいないという問題で、日本政策金融公庫の調査データによると、3割以上の企業は廃業を予定しているようです。
しかし、会社を立ち上げるのは簡単ですが、実際に会社を廃業、廃止にするのは簡単なことではありません。非常に煩雑な手続きの上に、費用もかかります。
そこで今回は、会社を廃業、廃止、閉鎖をする時の手続き、費用などについて書いていきます。これから会社の廃業、廃止、閉鎖などを検討されている方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
目次
1、コロナウイルスの影響を受け、倒産する前に廃業を検討されている会社が増えている
コロナウイルスは様々な業界に大きくダメージを与えています。更に収束が見えない中で、売上が殆どない中でムリして継続していくより、倒産になる前に廃業を検討されている方は非常に増えています。
実は廃業をする条件としては、まずは債務の完済です。つまり、今までの会社の債務を完済できないと、廃業をすることができないのです。逆に言えば、廃業ができる会社はいい会社とも言えます。
従って、そんなにいい会社を廃業にすることは非常にもったいないことであり、廃業ではなく、会社を売却するなどをぜひご検討頂きたいです。
また、今回はコロナウイルスの対策として、国から融資政策、税の緩和制度が発表されています。廃業する前にぜひ一度政策について確認してみてください。
詳しくは下記の記事を参照にしてみてください。
2、会社、事業所を廃業、廃止にする時の手続きは?
会社を作るのは簡単ですが、実際に廃業、廃止となると非常に煩雑な手続きになります。
では、実際に会社を廃業する時の流れをみてみましょう。
会社の廃業は「解散」と「清算」の2段階で手続きをきちんと行うことによって、初めて廃業が完了します。
(1)社員、クライアントなどに「廃業のお知らせ」の書面にて通知する
まずは、社員、クライアントなどに「廃業のお知らせ」の書面にて通知する必要があります。
自社の都合とはいえ、社員、クライアントのことも考慮すべきなので、実際に廃業する予定の2、3ヶ月前に通知するようにしましょう。
廃業のお知らせには、廃業の理由については特に述べる必要がありません。
■例文
(2)株主総会にて「解散決議」するのと「清算人」を選出する
会社を解散するには、会社法で決められた事由で特別決議にて解散する必要があります。
自主廃業の場合は株主総会を開催し、その株主総会に発行済み株式数の過半数の株主が出席した上で、2/3以上が解散に対する同意を得る必要があります。
なお、会社を廃業するによって財産を清算する必要があり、その清算人も株主総会にて選出しなければなりません。一般的には社長が清算人になるケースがほとんどです。
(3)解散日から2週間以内に法務局にて「解散登記」と「清算人選任登記」する
解散日から2週間以内に、法務局にて会社の「解散登記」と「清算人選任登記」をする必要があります。
申請書はこちらからダウンロードしてください。
(4)税務、社会保険などのお届けを出す
解散によって、法務局だけではなく、税務、社会保険などに関連するお届けも提出する必要があります。
詳細な提出先は「5、各種お届けのお届け先は?」を参照にしてみてください。
(5)官報に「解散公告」をし、債権者に通知する
会社を解散するにあたって、借金や未払金があった場合きちんと返さないといけません。
債権者に債権を申し出るよう官報にて「解散公告」を掲載すること、法律上で決められています。きちんと債権者に債権の通知をしてもらうには、2ヶ月以上の掲載期間を設ける必要があります。
(6)決算書類を作成
会社の廃業は「解散」と「清算」の2段階で手続きを行っており、まずは解散時の決算書類を作成する必要があります。
決算書に添付される
- 財産目録
- 賃貸対照表
などの書類については、株主総会での承認が求められます。
(7)純資産がマイナスな場合、破産などの手続きを行う
上記の決算書では、純資産がマイナスになった場合、債務超過ということになりますから、廃業することができず、破産の手続きを行うことになります。
(8)解散日から2ヶ月以内に、事業始めた日から解散日までの「解散確定申告」をする
解散の決算書類の作成ができましたら、事業始めた日から解散日までの「解散確定申告」を行います。
なお、清算が完了したタイミングで「(12)残余財産確定日から1ヶ月以内に、「清算確定申告」する」必要があります。
つまり、確定申告は2回する必要があります。
(9)債権回収、残余財産の分配をする
会社の債権を回収して、債権の弁済をしたり、残余財産を株主に分配して清算結了します。
債権の弁済についてですが、基本「(5)官報に「解散公告」をし、債権者に通知する」の期間が終わるまで、返済を行ってはいけないです、なぜならば、債権通知順で弁済してしまうと、通知が遅れた債権者への返済ができなくなるリスクがあるからです。
なお、他の債権者への返済ができなくなるというリスクがなく、裁判所の許可を得た場合は弁済しても構いません。
(10)株主総会にて「決算報告書」の承認をもらう
清算結了がしたら、「決算報告書」を作成し、株主総会にて承認をもらう必要があります。
清算もきちんと結了したことによって、正式に法人格が消滅することになります。
(11)決算報告書承認後2週間以内に、法務局にて「清算結了登記」する
株主総会にて「決算報告書」の承認後2週間以内に、法務局にて「清算結了登記」をしてください。
清算結了登記を持って、法人登記記録が閉鎖されます。
なお、支店などがある場合、その支店がある所在地にて「清算結了登記」を行ってください。
申請書はこちらからダウンロードしてください。
(12)残余財産確定日から1ヶ月以内に、「清算確定申告」する
残余財産確定日から1ヶ月以内に、その事業年度の「清算確定申告」を行う必要があります。
(13)税務署など関連官公庁に「清算結了届」を提出する
最後に、税務署など関連官公庁に「清算結了届」を提出してください。
申請書はこちらからダウンロードしてください。
3、会社を閉鎖、廃業する時の費用は?いくらかかるの?
会社を廃業するには、手続きが煩雑なだけではなく、費用もかかります。
(1)登記にかかる費用
まずは登記に下記の費用がかかります。
①解散・清算人登記:3万9,000円
−解散登記の登録免許税:3万円
−清算人選任登記の登録免許税:9,000円
②清算結了登記:2,000円
(2)官報公告にかかる費用
次は官報に「解散公告」をし、債権者に通知することに対しても費用がかかります。
なお、官報公告は行数によって費用の変動がありますので、下記費用は1つの参考金額にしといてください。
- 官報公告:3万3,000円
(3)司法書士など専門家に依頼した場合
会社を廃業するのに手続きが煩雑すぎて、専門家に依頼したい方もいらっしゃるでしょう。
その場合、上記費用の他に司法書士など専門家の報酬費用もかかります。大体10万円前後が1つの相場と言えるでしょう。
4、会社を閉鎖、廃業するにかかる期間は?
では、実際に会社を廃業するにはどのくらいの期間がかかるのでしょうか。
手続きに関しては、大体2ヶ月前後かかると言われています。
5、廃業する時の清算は?借入金が残っている場合は?
会社を解散するときに、資金不足で債務が残ってしまう場合も考えられます。この場合は、どうしたらいいのでしょうか。
(1)代表は連帯保証の分だけ
会社の債務は代表の債務だと思われている方が多いですが、実は、会社と代表は別々なので、会社の債務は代表が肩代わりすることはありません。
しかし、代表が連帯保証人になっている会社債務に関しては、連帯保証人である以上弁済する義務があること、理解しておきましょう。
(2)残った借金の返済は?
代表が連帯保証人となった債務の他にも、債務が残った場合どうすればいいでしょうか。
大きく下記2つの対処方法があります。
①返済しないで「自己破産」する場合
1つ目の対処方法は、債務の弁済をせず「自己破産」することです。
②返済する場合
2つ目の対処方法は、弁済をする方法です。
その債権について、保証協会がついているかどうかで対応が異なります。
−保証協会がついている債権
金融機関は返済不能と判断した時点で保証協会による「退位弁済」が行われます。
元々の債権者である金融機関から、その債権が保証協会に移り、保証協会が新しい債権者となります。
もちろん一括返済は難しいですが、分割返済すると保証協会と交渉することができます。月々数千円から数万円と、ご自身が返済できる範囲内で交渉してみてください。
−サービサー(債権回収会社)に債権が売られた場合
債務に保証協会ついてない場合どうなるのでしょうか。
その場合、国に認められた債権回収会社であるサービサーに売られる場合があります。
サービサーに債権を売ることによって、金融機関にとっては一部の債権を回収できるというメリットがある反面、不良債権であるため、元の債権額よりずっと安い金額しかならないというデメリットがあります。
債権がサービサーに売られた場合、サービサーと返済について交渉することになります。保証協会と違うのは、保証協会は債権全額の負担に対して、サービサーは元の債権額よりかなり安い金額で買っています。分割して返済してもいいですが、一括で返済できる額で交渉して、残りを放棄してもらう場合もあります。
6、閉鎖、廃業にする前に一度会社の価値を知っておくべき?廃業の前に検討したい2つの対応方法
会社を廃業していまうと、全ての可能性がなくなります。
後悔しないよう実際に廃業をする前に、他の解決策を検討して欲しいところです。
(1)休業状態にする
現状は経営していくには難しいですが、またどこかのタイミングを継続する可能性がある場合、廃業の前に休業状態にするという選択肢があります。
もう営業しないから、そのまま放置してもいいと思われている方もいると思いますが、法人である以上、原則毎年住民税がかかります。
面倒なことにならないよう、きちんと休業手続きをするようにしましょう。
①事業を完全に休業状態にする
休業状態にするには、まずは会社の営業状態を完全に休止する必要があります。
②都道府県税務署・市区町村役場に「移動届出書」を提出する
会社を完全に休業状態にしたら、都道府県税務署・市区町村役場に「移動届出書」を提出するようにしましょう。
「移動届出書」のフォーマットをこちらからダウンロードしてください。
なお、社員がいた場合、
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書(税務署)
- 健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届(日本年金機構)
の書類も提出するようにしましょう。
なお、手続きに伴う費用は一切かかりません。
③休業状態になる
上記書類をきちんと提出してから、会社は正式に休業状態になります。
なお、12年以上このまま放置すると、法人が消滅すること認識しておきましょう。
(2)M&Aによる会社を売却する
もう1つの方法は、M&Aを活用して会社を売却することです。
せっかく努力して会社を経営してきたのに、このまま廃業するのは非常に勿体無いです。他の会社に継続して経営してもらうなど、経営者が変わったとしても、会社を継続させるには意味が大きいと言えます。
廃業にする前にまずは自分の会社価値を算定してみてください。予想外に高く価値がついてる会社が多くあるのが実情です。下記M&Aリサーチでは、わずか1分であなたの会社価値を算出してくれますので、ぜひご利用ください。
M&Aリサーチ
なお、赤字経営の会社でも売却できる実績がありますので、ぜひ一度M&Aを検討いてみるといいでしょう。
また、最近ではM&Aマッチングサイトも増えました。売手会社は最後の成約までコストゼロ円で利用することができますので、試しで売却に出してみるのもいいでしょう。
利用者数が多いマッチングサイトをピックアップしましたので、ぜひ試してみてください。
①スピードM&A
スピードM&Aは、M&A仲介とマッチングサイトの2つのサービスが統合した、新しい形のハイブリッド型M&Aプラッ トフォームです。 オフライン(仲介)とオンライン(マッチングサイト)の相乗効果により、 多面的・多角的な総合支援を行うことで、最適かつスピーディーな事業承継・M&Aをサポートします。
スピードM&Aの特徴としては、規模や業種を問わずあらゆる案件が掲載可能なのと、譲渡価格にして、100万円未満から数億円以上の案件まで幅広く利用することが可能です。
基本的な利用料やご相談は完全無料となっていて、売手会社は最後成約まですべて「0円」と、全くコストをかけずに利用することができますので、【完全無料】買い主様の会員登録はこちらからご利用ください。買手会社の場合は完全成功報酬型を採用しており、成約時の報酬は成約価格に連動しますが、最低手数料は業界最安水準の「20万円」と、低コスト及び短期間でのM&Aを実現することが可能です。
②M&Aクラウド
M&Aクラウドは、業界の通例であった着手金・成約手数料がなく、完全無料で利用できる、会社や事業を売りたい売手会社と、買手会社をオンライン上でマッチングするサービスです。買い手の顔が見えるという唯一無二の強みから、オンラインプラットフォームとしては圧倒的なマッチング率を実現しています。
M&Aクラウドを利用して、サービスローンチ後わずか半年で9.2億円のディールが成立したり、交渉開始後わずか2か月半で上場企業グループからの資金調達が実現したり、コロナ禍でも積極的に異業種M&Aが成立するなど成約実績が豊富です。
コロナの影響を受けて、会社の売却を検討されている方は、ぜひ登録してみてください。
③Batonz(バトンズ)
Batonz(バトンズ)は、跡継ぎをすぐに探せるだけでなく、 全国の士業事務所や金融機関が「承継アドバイザー」として交渉をサポートしているのが特徴です。 承継アドバイザーは、累計成約実績4,500件を誇る日本M&Aセンターグループである バトンズが提供するノウハウを受け継ぎ、承継後のリスクを低減した安全な事業承継を実現しています。
バトンズの累計ユーザー登録数28,000人超、累計成約実績数は200件で、 国内の事業承継マッチングサービスでは最大級の会員基盤・成約実績となります。
Batonz(バトンズ)を利用する売手会社は、最後成約まで報酬「0円」で利用することができます。買手会社の場合は最後ご成約した時に成約価格「5%」の報酬が発生します。最低報酬は「25万円」となります。
7、各種お届けの提出先は?
会社の廃業に伴って、様々なお届けを提出しないといけません。
以下にてお届けの提出先をまとめてみましたので、参考にしてみてください。
(1)法務局
- 解散や清算結了の登記
(2)監督官庁
- 廃業の届出
(3)税務署、県税事務所、市町村
- 解散の届出
- 清算結了の届出
- 給与支払い事務所の廃止届出
- 消費税事業廃止届
(4)ハローワーク
- 雇用保険適用事業所廃止届
- 雇用保険被保険者資格喪失届
- 離職証明書
(5)年金事務所
- 健康保険・厚生年金被保険者喪失届
- 適用事業所全喪失届
(6)被保険者の住所地の協会けんぽなど
- 健康保険任意継続被保険者資格取得申出書
(7)労働基準監督署
- 労働保険確定保険料申告書
- 労働保険料還付請求書
(8)商工会議所や各加入団体等
- 退会の申出
届け先一覧表
提出先 | 提出書類 |
法務局 | ・解散や清算結了の登記 |
監督官庁 | ・廃業の届出 |
税務署 県税事務所 市町村 |
・解散の届出 ・清算結了の届出 ・給与支払い事務所の廃止届出 ・消費税事業廃止届 |
ハローワーク | ・雇用保険適用事業所廃止届 ・雇用保険被保険者資格喪失届 ・離職証明書 |
年金事務所 | ・健康保険・厚生年金被保険者喪失届 ・適用事業所全喪失届 |
被保険者の住所地の協会けんぽなど | ・健康保険任意継続被保険者資格取得申出書 |
労働基準監督署 | ・労働保険確定保険料申告書 ・労働保険料還付請求書 |
商工会議所や各加入団体等 | ・退会の申出 |
8、有限会社を廃業する場合には?有限会社を廃業するときの手続き
株式会社ではなく、有限会社の廃業を検討されている方もいらっしゃるでしょう。
有限会社に関しては、基本株式会社とほぼ同じ手続きと思って頂ければと思います。
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黒字廃業は非常にもったいないことですので、少しでも利益になるよう当サイトは無料にてお手伝いさせて頂いています。債務超過でも売却できて、個人破産を免れたケースが多くありますので、赤字会社でもぜひご相談ください。
まとめ
今回は会社の廃業、廃止、閉鎖について書きましたが、参考になりましたでしょうか。
会社を作るには簡単ですが、廃業するには非常に手間もお金もかかることです。可能であれば、会社を廃業にする前に、M&Aによる会社の売却など、可能性を1つでも増やせたら嬉しいです。
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