活発な取引を見せているM&A業界。今までM&Aに興味がなかった方も、少しずつ興味を持ち始めた方も多いのではないでしょうか。
今回は今年で設立11周年を迎えた、キャピタル・エヴォルヴァー株式会社の代表取締役 前垣内佐和子(まえがいちさわこ)さんに、今のM&A業界の動き、この業界に入ったきっかけ、失敗率が高いM&Aを行う上での注意事項などについて伺わせて頂きました。
目次
小規模M&A案件が増える見通し
八木:取引件数が順調に伸びているM&A業界ですが、業界の動きについてどのようにお考えでしょうか?
前垣内代表:M&Aの業界分析をするにあたっては、色々な切り口での見方があります。
取引件数、取引額(総額)、1件あたりの取引件数、日本企業同士のM&Aなのか海外の企業が日本企業を買収する形なのか、日本企業による海外企業へのM&Aなのかという形態、またその内容が事業承継型のM&Aなのか、それ以外なのかという切り口です。
八木:データによると取引件数が伸びているようです。
前垣内代表:おっしゃるように取引件数は順調に伸びております。
この理由は、M&Aのマッチングサイトや乱立した新規M&A仲介会社の営業により、M&Aが一般化してきて、小規模M&Aが増えて来たという点があると思います。
八木:小規模M&Aが増えているのですね。
前垣内代表:今後も取引件数は、しばらくは、小規模M&Aに関してはこのまま増えていくのではないかなと思います。
ただ、投資ファンドが投資するような規模の案件の数については、これから3年、4年くらいはしばらく停滞するかと思われます。
八木:大規模の取引が減るのですね?
前垣内代表:今年の前半くらいで一巡したような肌感覚がありますし、投資ファンドの方々と話していても、去年くらいまでは高値でも買収を進めていたけれども、今年の8月くらいから今後の景気を見据えて投資のハードルを上げたと言っている方々がとても多いですね。
その結果、件数は増えているものの、M&A金額の推移を見ると、2019年前半は2018年に比べ減少しているようです。
八木:確かに取引金額は減っているのデータがでました。
前垣内代表:業界によっても、違うのですが、リーマンショックの後しばらく、買い手市場だったのですが、特にここ5年くらい、世の中にお金が余っていて、売り手市場になっており、これらのサイクルは繰り返されていますので、もし、売ることをご検討されているのならば、早めに本格的にご検討されると良いのではないかなと思います。
八木:今は会社を売るタイミングですね!
前垣内代表:また、M&Aの種類についてはクロスボーダー(国際間の)案件は増えて来ているようですが(ただし、外国企業による日本企業へのM&Aの件数はあまり増えていないようです)これからもっと増えていくのではないかなと思います。
当社もクロスボーダーM&Aを考えられている企業のサポートをするために、今、体制を整えております。
M&A業界は非常に刺激的な業界である
八木:財務、法務、税務など様々な分野と、非常に高い専門性を求むM&A業界に入るきっかけは?
前垣内代表:大学生の時に、国内外の大学で、コーポレートファイナンス、法律、会計、税務など幅広く勉強していて、もともと数学が好きだったので、特に、ファイナンス関係に楽しさを感じていました。
また、祖父が検察官だったのもあり、法律もとても興味があったので、やはりこれらの両方を使える事業会社の経営企画部、投資銀行や証券会社の投資銀行部門に就職したいなと思っておりました。
八木:幅広い専門知識を学んでいたのですね。
前垣内代表:就職活動の際、外資系の投資銀行の投資銀行部門(M&Aのアドバイスなどをこの部署で行います)でのインターン参加のための面接を数社パスしまして、初めて自分で勉強した知識を使って、社会で給料を頂いて感激したのを今でも覚えています。
八木:インターンで既にM&Aを経験されたのですね。その時この業界に入ると決心したのですか?
前垣内代表:チームを組んで、会社分析をしてM&Aの提案書を作って、プレゼンの前日は徹夜状態で、刺激的でこの業界に入りたいなと思っていました。
ただ、就職活動では、金融機関からオファーを頂いたのが、株式のトレーディングなどをやっている市場での金融商品を売買する部署でしたので、右から左にお金を流すだけのものには全く興味がなく、それなら、事業会社で働きたいないなと、結局事業会社の経営企画部に入社しました。
顧客に満足していただける瞬間は最高の瞬間
八木:日々大変と思いますが、この仕事のやりがいは?
前垣内代表:ディールがクローズして、クライアントに喜んでいただける瞬間です。
またクローズして、それぞれが日常生活に戻り、忘れた頃に、改めてお礼の連絡が来る時も、この仕事をしてて良かったと思いますね。
八木:クライアントに喜んでもらえるのは何よりも嬉しいことですよね。
前垣内代表:当社は、経験豊富なプロフェッショナルのアドバイザリー会社ですので、一般的なM&Aの仲介会社などではサポートしないレベルまで細かく高いレベルでサポートしていきますので、クロージングの時に、「あなたに頼んで良かった、本当にお世話になりました!ありがとうございます!」と言われることが多いです。
クライアントが喜んでいる顔を見るのが本当に嬉しいです。
八木:高い専門性を求めるこの業界だから、サポートのレベルは非常に重要でしょう。
前垣内代表:先日は、クライアント(買主)からM&Aがクロージングした1年後に突然連絡がありました。
話を聞いて見ると、当社のサポートでM&Aをしたあと、他のM&Aの仲介会社から営業があったようで、仲介をしてもらい再度他社を買収したようなのです。
そうしたところ、他社と当社が提供していたサービスの質の差に唖然としたようで、「御社がサポートしてくれたM&Aが、本物のM&Aなんだとよく他の会社のサービスを使ってみてわかりました!」「本当にあの時はありがとうございました。改めて感謝しています」という電話があり、とても嬉しく思いました。
八木:高く評価してもらえるのは嬉しいです。
前垣内代表:当社に頼む前は一般的な仲介会社とアドバイザリー会社の差がみなさんわからないようなのですが、クロージング後に、「価値がよくわかりました」と、みなさん喜んでくださるので、嬉しく感じます。
手数料をあまり払えないと値切って来て安く契約していた会社も、クロージング後、「ここまでやってくれて感謝しているので、当初御社が提示していた金額を払わせてください」と自ら手数料の値上げを提案された時もやりがいを感じましたし、顧客に満足していただける瞬間は最高の瞬間です。
「誠実」であることは何よりも大事
八木:会社の売買に関わるのは非常に大きな役割を担っていると思いますが、気をつけていること、 必ず守っているルールなどあります?
前垣内代表:必ず守っているのは、「誠実」であることですね。
「誠実」というのは、人それぞれ価値観が違うと思いますが、プロフェッショナルですので、「顧客にとって何が一番良いのかを考えること」ここにポイントを置いております。
八木:顧客の立場に立って提案するのことですね。
前垣内代表:自分の考えの押し付けであってもいけないですし、だからと言って、何も伝えないのも良くないですし、長期的に良いのか短期的に良いのか、その見る視点によっても変わって来るため、バランスが難しいのですが、そのバランスも顧客にとってベストだと思う選択をするようにしています。
八木:顧客のために自分の意見もきちんと伝えること重要ですよね。
前垣内代表:顧客のために、時には自分が悪者になって、第三者と喧嘩することも多々ありますね。
どんなに当社の大きな収入になる案件であっても、顧客にとって適切でなければ、そのディールはやるべきではないですので、必ず顧客に何度も注意喚起をしてもう1度考え直してもらうようにしています。
初めてエグゼキューションした案件は今も覚えている
八木:今まで最も印象に残っている案件は?
前垣内代表:やはり初めてエグゼキューションを全て自分でやってクロージングさせた案件ですね。
八木:取引金額はいくらでしょうか?
前垣内代表:35億円くらいのM&A案件だったと思います。20代半ばの時にやったディールですが、まだ当時の顧客や関係者とは親しくしていますし、交渉相手側の担当者とも未だに付き合いがあります。
「今」はM&Aを行ういいタイミングである
八木:これからM&Aを検討されている方へのメッセージをください 。
前垣内代表:会社を売るというのは、今まで自分が大事に育てて来た子供を誰か
色々な心配があると思いますが、逆に従業員が幸せになること、会社が発展すること、会社を手放したオーナー社長様の名誉になることなども多々あります。
M&Aは景気の波などに左右されて売却価格や買主候補社数なども大きく変わって来たりと、タイミングがとても大事ですが、今、M&Aを行うにはとても良いタイミングです。
是非、迷われている方には、タイミングを逃さないよう、一度、経験豊富なアドバイザーのお話を聞くことをオススメします。
前垣内代表への相談フォーム
Copyright © M&A INFO All rights reserved.