今回の新型コロナウイルスの影響を受け、営業自粛など中小企業に大きなイメージを与えています。
売上が減少した中小企業の救済措置として、先日4月7日に令和2年度の経済産業省関連補正予算案が閣議決定し、コロナ融資からはじめ、緊急経済対策における税制上の措置に関する発表もありました。
こちらの記事では税制上の措置、受けるための条件などについてまとめました。コロナウイルスの影響を受け、売上が下がった中小企業はぜひチェックしてみてください。
目次
1、緊急経済対策における税制上の措置まとめ
今回の補正予算案の閣議決定として、緊急経済対策における税制上の措置は以下の通り発表されました。
- (保有している場合)固定資産税・都市計画税の減免
- (新たに投資する場合)固定資産税の特例(固定ゼロ)の拡充・延長
- 納税の猶予
- 欠損金の繰戻還付の拡充
- (中小企業経営強化税制の拡充)テレワーク等のデジタル化投資の促進
では、それぞれについて見ていきましょう。
2、(保有している場合)固定資産税・都市計画税の減免
固定資産税・都市計画税の減免は、中小企業が既に保有されている全ての設備と建物に対して、売上の減少幅に応じて、2021年度の固定資産税・都市計画税の金額は1/2、もしくはゼロにする措置です。
出典:総務省
(1)減免の対象
減免の対象としては
- 設備などの償却資産及び事業用家屋に対する固定資産税
- 事業用家屋に対する都市計画税
上記事業用で所有されている場合は対象となります。
なお、上記税金はどちらも市町村税に該当します。
(2)減免となる条件
では、減免を受けるための条件はなんでしょう。
2020年2月〜10月までの間で、任意の3ヶ月間の売上額は前年同期と比較して減少率は
- 30%〜50%:本来の税金額の1/2減免
- 50%〜:本来の税金額の全額減免
となっています。
例えば、昨年の3月〜5月の売上「2,000万円」に対して、今年の3月〜5月の売上は「900万円」となった場合は、減少率は50%以上になりますので、2021年度の固定資産税・都市計画税の金額はゼロ円になります。
3、(新たに投資する場合)固定資産税の特例(固定ゼロ)の拡充・延長
新型コロナウイルスの影響を受けながらも、新規に設備投資を行う中小企業を支援するという観点から、適用対象を拡充するのとともに、適用期限も延長する内容となっています。
(1)現行制度の対象となる投資設備が拡充された
1つ目は現行制度の対象となる投資設備が拡充されました。
①現行制度の対象設備
現行では対象となるのは下記設備となります。
- 機械及び装置
- 器具及び備品
- 工具
- 建物付属設備
②拡充対象
現行制度に対して、
- 事業用家屋
- 構築物
が追加されました。
事業用家屋については、取得価格の合計額は「300万円以上」の先端設備等とともに導入されたものが条件です。
一方、構築物は旧モデルと比較して、生産性が年平均「1%以上」向上する一定のものが条件になります。
2020年2月末の時点では、全国1,646自治体のうち、1,642自治体は導入促進基本契約に同意されています。
上記同意をされている市町村にて適用されると、「投資後3年間固定資産税が免除」され、つまりゼロ円という特例になっています。
(2)生産性革命・集中投資期間の延長
生産性向上に向けて新規投資の期間は、本来平成30年度〜令和2年度の限定実施となっていましたが、こちらの特例の適用対象に事業用家屋、門、塀、広告塔、受変電設備などの構築物を追加した場合は、特例の適用期間は「2年間延長」、令和4年度までとなります。
(3)認定スキーム
特例に適用するには認定を受ける必要があります。その認定スキームは下記となります。
- 企業にて先端設備等導入計画の策定
- 市町村に申請する
- 認定されたら、市町村にて導入促進基本契約を策定
- 市町村と国が協議する
- 国から同意を得て、国にて導入促進指針を策定
出典:経済産業省「緊急掲載対策における税制上の措置」
4、納税の猶予
新型コロナウイルスの影響を受けた全ての事業者に対して、納税の猶予も設けられています。
(1)納税猶予を受ける条件
納税猶予を受ける条件としては、2020年2月以後の収入は、1ヶ月以上において、前年同月に比較して20%が減少した場合、無担保かつ延滞税なしで「1年間の納税猶予」を受けることができます。
(2)猶予となる税金種類
基本、すべての税金が対象となります。
- 法人税
- 消費税
- 申告所得税
- 固定資産税
出典:経済産業省「緊急掲載対策における税制上の措置」
5、欠損金の繰戻還付の拡充
現在は、資本1億円以下の中小企業に限り、前年度に納付した法人税の一部還付を受ける、欠損金の繰戻還付を受けることができるようになっています。
例えば、2018年度は黒字、2019年度赤字の場合は、2019年度の赤字損益を2018年度の黒字利益と相殺し、2018年度に既に納付した法人税の一部を取り戻すことができます。
出典:経済産業省「緊急掲載対策における税制上の措置」
この制度の適用対象としては、「資本金10億円以下」の中堅企業にと拡充することになりました。
今まで資本金1億円以上10億円以下の中堅企業は、コロナウイルスの影響を受け2020年度は赤字となった場合は、2019年度の黒字利益をと相殺して、欠損金の繰戻還付を受けることができます。
6、(中小企業経営強化税制の拡充)テレワーク等のデジタル化投資の促進
元々国は青色申告をされている中小企業を対象に、経営力向上のため一定の新規設備を取得した場合、優遇措置が受けられるようにと中小企業経営強化税制を設けています。
今回はコロナウイルスの影響を受け、会社に出社することができず、テレワーク、リモート対応ができるように、新規で導入されたデジタル化設備が、現行の中小企業経営強化税制の生産性向上設備、収益力強化設備の類型にと拡充されました。
(1)適用要件
適用される要件としては
- 経営強化法の認定
- 遠隔操作・可視化、自動制御化
のいずれかに該当する設備である必要があります。
(2)対象設備
対象設備としては下記となっています。
- 機械・装置(160万円以上)
- 工具(30万円以上)
- 器具備品(30万円以上)
- 建物付属設備(60万円以上)
- ソフトウェア(70万円以上)
(3)税制措置
税制措置としては、大きく2種類があります。
①即時償却
即時償却は取得した年に全額を償却する方法です。
例えばソフトウェアを100万円で購入した場合は、100万円をその年に償却して法人税をおさえる方法です。
②税額控除
税額控除を選ぶ場合、税額控除の金額より本来の法人税額☓20%より少ない額が控除額になります。
なお、税額控除は通常7%ですが、資本金3,000万円以下、もしくは個人事業主の場合は、税額控除は10%となります。
つまり、資本金が1,000万円の会社の場合は、「100万円☓10%=10万円」となります。
本来の法人税額が200万円と仮定し、「200万円☓20%=40万円」となるため、金額が少ない税額控除の10万円が適用され、その年の法人税は「200万円−10万円=190万円」となります。
どっちを選ぶかは自由ですが、設備の投資額が大きく、法人税も高い場合は税額控除の方がメリットが大きいかもしれません。
中小企業経営強化税制について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
なお、新型コロナウイルスの影響を受け売上が減少した中小企業向けに、国が実施される金融政策につていは下記の記事を参照にしてみてください。
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まとめ
今回の新型コロナウイルスの影響を受け、資金繰りがかなり厳しくなった会社も少なくないでしょう。
ぜひこちらの記事を参考に、国が発表した税制措置を活用するようにしましょう。
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