日本の企業は、約7割後継者不在という深刻な状況になっています。
その中で、跡継ぎを探したいという経営者も多いのではないでしょうか。
とは言え、跡継ぎの求人は今までしたこともなく、具体的にどのようにして跡継ぎを探したらいいのかが分からない、効率よくいい人材を探すコツを知りたいと悩まれている経営者も少なくないでしょう。
そこで今回は、跡継ぎ求人の探し方、跡継ぎ求人で成功するためのポイントなどについて書いていきます。跡継ぎがいなくて悩まれている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
1、跡継ぎがいない4つの原因
今の日本の企業は、約7割後継者がいないという深刻な状況になっています。
その原因としては、大きく下記4つが挙げられます。
(1)跡継ぎとなる人がいない
中小企業においては、多くの経営者は自分の子ども、親族に跡継ぎになって欲しいと考えています。
しかし、跡継ぎになって欲しい子どもが実は、跡継ぎとなる意思がないのも珍しい話ではありません。
勤めている会社で出世したり、親が経営している会社とは全く違う業界にいたり、そもそも親がやっている事業に興味がないなどの理由が挙げられます。
(2)跡継ぎの意思あるが、経営能力がない
子どもには会社を継ぐ意思はあるけど、経営する能力がなく引き継げないのも一つの原因として挙げられます。
今まで数十年も頑張って育ってきた会社は、経営能力がない子どもに引き継ぐのはなかなか難しいでしょう。
(3)事業の将来性がない
子どもが跡継ぎの意思あり、更に経営能力もあったものの、起業した頃に人気のある事業でも、今となれば人気がなくなり、このまま引き継いでも将来性がないことも考えられます。
各業界が再編・合併が進んでいる中で、これからも生き延びていくために、事業の見直し、新しい事業の取り入れなども検討する必要があるケースも多くあります。
(4)子ども以外の跡継ぎの探し方が分からない
では、子どもが跡継ぎとなれない場合、どのようにして跡継ぎを探したらいいのかが分からない方も多いです。
帝国データバンクの調査によりますと、子ども配偶者への跡継ぎが減少傾向で、M&Aを活用するなど非同族への引き継ぎが増えています。
出典:帝国データバンク「全国後継者不在企業動向調査」(2018年)
つまり、跡継ぎがいないという問題を解決する方法、会社をより成長させるなどの選択肢が増えていることと言えるでしょう。
2、跡継ぎの3つの探し方
続きまして、跡継ぎの3つの探し方を紹介します。
(1)会社役員から跡継ぎの適任者を探す
子ども、親族で跡継ぎがいない時、まず検討して欲しいのは会社の役員から跡継ぎの適任者を探す方法です。
会社の役員が会社の跡継ぎにする場合、マネジメント・バイアウト(MBO)と言います。
①会社役員から跡継ぎにするメリット
会社の役員から会社の跡継ぎにするには、大きく下記のメリットが挙げられます。
- 会社の事業を熟知している
- 経営能力があるかどうかも把握している
- 短期間での引き継ぎができる
- 社員・クライアントなどからの不満を回避することができる
自分が知っている人に会社を任せるのは、なんと言っても安心ができると言えるでしょう。
②会社役員から跡継ぎにするデメリット
会社役員が跡継ぎにする時の最も大きなデメリット、課題はファイナンス問題です。
中小企業でも、数千万円から億単位まで評価が出る会社が多く、役員とは言え、そのファイナンスを用意することはなかなか難しいでしょう。たとえ会社を買うファイナンスの用意ができたとしても、今の会社の連帯保証まで引き継げない場合があります。
それを解決する方法としては、金融機関などからお金を集めて、非上場会社を引き継ぐ役員をサポートするPEファンド(プライベート・アクイティ・ファンド)、事業承継ファンドなどを利用することができます。
PEファンド、事業承継ファンドなどの利用方法について詳しくは下記記事を参考にしてみてください。
(2)求人サイトを利用する
インターネットで「跡継ぎ 求人」などのキーワードで検索すると、様々な求人サイトが出てきます。
このように、求人サイトを活用して、会社の跡継ぎを探すこともできます。
①求人サイトを利用するメリット
求人サイトを利用するメリットとしては、求人の項目できちんと「後継者」などを明記すれば、応募する人はきちんと会社を継ぐ意識を持って応募してくるので、いい人材を見つける可能性があります。
②求人サイトを利用するデメリット
求人の応募があるものの、全く知らない人に会社を引き継ぐことを検討するわけですから、その人について知る、スキルを判断するなど様々な面で評価しないといけないから、数年も時間かかることも想定さてます。
また、本当に信頼できるかどうかどういう信頼関係を作ることも結構時間がかかると言えるでしょう。
(3)M&Aなどを活用して外部への跡継ぎを検討する
上記にも書きましたが、M&Aなどを活用して外部への跡継ぎが年々増えています。
衆議院調査局経済産業調査室の調査では、3割以上の人は「M&Aは事業承継対策として有効な手段」と前向きに考えている結果が出ています。
出典:衆議院調査局経済産業調査室「最近の企業動向等に関する実態調査」
また、中小企業庁の調査では、「事業承継を背景に実際にM&Aを実施した企業の生産性が高い」というデータも出ています。
出典:中小企業庁の「中小企業白書・小規模企業白書概要」(2018年版)
①M&Aを活用するメリット
M&Aを活用した事業承継は大きく下記のようなメリットが挙げられます。
- 跡継ぎの問題を解決できる
- 売却益を得ることができる
- 連帯保証から解放することができる
- 会社をより大きく成長することができる
②M&Aを活用するデメリット
一方、下記のようなデメリットもあります。
- 売却後にも運営義務が残る場合がある
- 事業領域の制限が発生する
もちろん、その後引退するのであれば、「事業領域の制限」はあまり気にならないでしょう。
なお、M&Aをする場合の流れなどについて詳しくは下記記事を参考にしてみてください。
3、跡継ぎ求人を成功させる2つのポイント
では、最後に跡継ぎ求人で成功させる2つのポイントについて書いていきます。
(1)余裕を持って求人をする
事業承継の場合、60歳になってから考える経営者が多いようですが、後継者がいなくて、求人を考えている場合、もっと余裕を持って始められることが重要です。
会社の役員を跡継ぎにするのか、求人サイトを活用して跡継ぎを探すのか、もちろんどなたにするかによって期間は変わりますが、いきなり会社を引き継ぐことは難しいです。
一緒に仕事をしながら事業について教えたり、経営のノウハウを教えたり、部下との関係を作ったり、クライアントに跡継ぎとして紹介したりなど、スムーズに会社を承継するには、少しずつ引継ぎに向けて対応することが重要です。
(2)無理して跡継ぎを作らない
跡継ぎを見つけたらゆっくり教育していけばいいのですが、やはり安心して会社を任せられないと感じたら、無理して会社を引き継がないことが重要です。
自分の会社とは言え、社員に対して責任があります。自分が引退したあとにも今の社員が安定して会社で働ける環境作りにしてあげないといけないので、少しでも不安に思ったら、社員たちのためにもやめましょう。
この場合、M&Aなど外部への承継を検討しましょう。会社が大きくなれば、社員たちの給与、福利厚生など待遇の面でよくなるケースも考えられます。
中小企業のM&Aは大きく以下の仲介会社が挙げられます。無料にて相談できますので、一つの選択肢として一度話を聞いてみるといいでしょう。
①(株)GCA
URL:https://www.gcaglobal.co.jp/
②(株)ストライク
③M&Aキャピタルパートナーズ(株)
なお、M&Aの仲介会社について詳しくは下記記事を参考にしてみてください。
お問合せフォーム
まとめ
今回は会社の跡継ぎいなくて、求人を考えている方向けに、知っておきたい知識について書きましたが、参考になりましたでしょうか。
事業承継で後継者がいないという問題は、今の日本においては非常に深刻な状況です。また、少子高齢化問題により、個人消費がどんどん減り、業界の再編・合併もどんどん進んでいる中で、自分の会社はこの先本当に大丈夫なのか、今のままで安心して任せられるのかなどの課題も考える必要があると言えます。
従って、跡継ぎがいればという単純な問題ではなくなりますので、会社の将来性も含めて跡継ぎを考えるべきではないでしょう。
Copyright © M&A INFO All rights reserved.