IT・ソフトウエア業界の2021年11月のM&A|件数3位も金額は過去最高に

IT・ソフトウエア業界の2021年11月のM&A発表件数は11件で、11月としては2012年以降の10年間では、2019年(14件)、2018年(12件)に次ぐ3番目(2017年は同数)となった。取引金額は575億円で、こちらは11月としては2012年以降の10年間では、2019年(68億円)を上回る過去最高となった。500億円を超える案件があったため一気にそれまでトップだった2019年の8倍強に膨らんだ。IT人材の不足に加えて、企業の選択と集中の動きが強まっており、IT関連業界のM&A市場が活発となっている

全上場企業に義務づけられた東証適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A仲介のストライク(M&A Online)が集計した。

取引金額のトップは野村総合研究所の522億円

取引金額のトップは、野村総合研究所が米国統括会社を通じて、デジタル技術で企業の業務変革を支援するDX(デジタルトランスフォーメーション)サービス大手の米国Core BTS, Inc.(インディアナ州)を子会社化することを決めた案件で、取得価格は522億9200万円。

グローバル事業の拡大の一環で、Core BTSを傘下に置く、持ち株会社のConvergence Technologies, Inc.の全株式を取得する。

Core BTSはクラウド、デジタル開発、ネットワーク、セキュリティーの各事業領域でコンサルティングからシステム開発、導入、運用までのサービスをトータルに提供している。

2番目はポートが新電力の20億円

金額の2番目は、ポートが新電力への切り替えに際して見積もりや取次業務を代行するマッチングメディア「エネチョイス」などを運営するINE(東京都豊島区)の株式50.91%を取得し子会社化することを決めた案件で、取得価格は約20億6800万円。

ポートが強みとする就職領域の会員基盤と組み合わせ、相互の販路活用による収益機会の最大化につなげる。

INEは政府の電力自由化が始まった2014年に設立。新電力への切り替え取次件数では業界トップ級で、2022年3月期は10万件を突破する見込みという。

3番目はマネーフォワードの19億円

金額の3番目は、マネーフォワードが人事労務関連のチャットボット「HiTTO(ヒット)」を展開するHiTTO(東京都千代田区)の全株式を取得し子会社化することを決めた案件で、取得価格は19億9900万円(新株予約権を含む)。顧客企業におけるバックオフィスの業務効率化を推進するのが狙い。

「HiTTO」は勤怠管理、年末調整、経費精算、福利厚生など人事労務に関する社内からの問い合わせにチャット形式で対応し、AI(人工知能)が自動で即時に回答する。中規模以上の企業を中心に採用が進んでいる。

このほかに10億円未満が4件、金額非公表などが4件あった。

【IT・ソフトウエア業界の2021年11月のM&A】

八木チエ

八木チエM&A INFO プロデューサー

投稿者プロフィール

大学卒業後、7年間IT会社の営業を経験し、弁護士事務所に転職。
弁護士事務所で培った不動産投資の知識を活かし、業界初の不動産投資に特化したメディアを立ち上げ。2018年に株式会社エワルエージェントを設立。不動産投資「Estate Luv」、保険「Insurance Luv」などのメディア運営やメディアのコンサル事業に特化。
M&A業界が盛んになった今、M&Aの情報を正しく伝えたい、もっと多くの人にM&Aの魅力を知ってもらいたいと思い、M&Aに特化したメディア「M&A INFO」を立ち上げ。より有益な情報を多く配信している。

この著者の最新の記事

関連記事

ピックアップ記事

  1. こちらの記事をお読みの方の中で、会社、企業を売りたいと検討されている方もいらっしゃるのではないで…
  2. M&Aを検討しているものの、どこに依頼したらいいのかと分からない方も多いのではないでしょうか…
  3. 「起業しても1年で半分の会社がなくなる、10年以上続いている会社はわずか1%」 と…
  4. 人材の採用・育成が大変だから、優秀な人材を抱えている会社を買いたい 新規事業の開発をしたい…
  5. 「M&A」という言葉は、経営者であれば一度は聞いたことがある方はほとんどでしょう。 …
  6. 少子高齢化による人材不足、経営環境の変化など様々な問題の影響により、数十年も経営してきた会社の事…
ページ上部へ戻る