M&Aの目的は?M&Aのメリットを最大限に活かす戦略

M&Aを行うには、買手、売手それぞれに目的があります。

一般的にはM&Aの成功率は3〜5割だと言われていて、ビジネス界においてその成功率は非常にリスクが高いと言えます。従って、M&Aの提案を受けたから、目的を明確にしないままでM&Aを行うのは、失敗する率が非常に高いです。

買手、売手がM&Aをする目的を達成できるよう、それに合ったM&A手法を選ぶ必要があり、更に失敗しないためのポイントもおさえておくことも重要です。

今回は、買手、売手別に、みなさんはどのような目的でM&Aをするのかについて書いていきます。これからM&Aを検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

1、M&Aは戦略?M&Aが盛んになった背景は?

中小企業庁が発表したデータによりますと、2017年のM&Aの取引数は3,000件も超えました。

出典:中小企業庁

では、M&Aが盛んになったにはどのような背景が考えられるでしょうか。

(1)戦略として

M&Aをすることによって、何が得られるのでしょうか。

売手と買手それぞれ異なりますが、

  • 新しいエリアへの進出
  • 新規クライアントの獲得
  • 新規事業など事業の多角化
  • 技術・人的・ノウハウの獲得

など、「戦略的価値」を得ることができた上に、

  • 資金の獲得

による「財務的な価値」も得られると、実は一石二鳥なビジネス手法です。

中小企業庁が出している下記のデータを見ていただければ分かりますが、中小企業は新規で子会社を新規で設立するより、M&Aを活用して会社を買収する戦略を立てている会社が多くなりました。

M&A、M&Aとは

出典:中小企業庁

(2)事業承継問題の解決策として

帝国データバンクが2018年に実施した「後継者問題に関する企業の実態調査」のデータによりますと、日本企業の後継者不在率はなんと約7割を達しています

そういった事業承継問題の一つの解決策として、M&Aを活用する会社が増えました

衆議院調査局経済産業調査室の調査では、5割以上の会社は事業承継においてM&Aに対して前向きな姿勢を見せており、また、中小企業庁の調査では、事業承継を背景にM&Aを実施した企業の生産性が高いというデータも出ています。

出典:衆議院調査局経済産業調査室「最近の企業動向等に関する実態調査

出典:中小企業庁の「中小企業白書・小規模企業白書概要」(2018年版)

2、買手会社がM&Aをする目的は?

続いて、買手会社、売手会社がそれぞれにM&Aを実施する目的をみてみましょう。

買手会社がM&Aをする目的は大きく下記3つが挙げられます。

(1)新規事業など事業内容の多角化

新規事業など事業内容の多角化を目的に、M&Aを活用する会社が多くあります。

新規事業などをゼロから作ると、労力もノウハウもお金もかかることですから、すでに実績がある事業を買収することによって、より短期間で事業内容の多角化をすることができます。

(2)技術力の獲得

技術力の獲得を目的にM&Aを活用する会社も多くあります。

新しい技術者を探したり、研究するより、その技術力を持っている会社を買収した方が、研究コストが見えやすく、期間も短縮でき、シナジー効果を明確にすることができます。

(3)業界再編による事業の拡大

少子高齢化などの影響によって、GDPのうち個人消費の割合が高い日本にとっては、様々な業界の再編が進んでいます。

その中で、中小企業を買収して事業の拡大を目的に、M&Aを活用する会社は多くあります。

なお、M&Aをすることによってデメリットもあります。そのデメリットと回避策について買手会社の記事を参照にしてみてください。

3、売手がM&Aをする目的は?

一方、売手会社はM&Aをするにはどのような目的があるのでしょうか。

(1)後継者がいない事業承継問題の解決

上記にも書きましたが、日本企業の後継者不在率はなんと約7割も達していて、非常に深刻な状況になっています。

後継者がいないという事業承継問題の一つの解決策を目的に、M&Aを活用する会社が増えました。

(2)資金調達

資金調達を目的に、会社の売却をされた経営者も多くいます。

金融機関などから資金調査をするより、大手企業の傘下に入ることによって、資金調達だけではなく、優秀な人材、会社の信用力、販売ネットワークなど様々なメリットをもたらすこともできます。

(3)事業をよりスピーディーに拡大

1社だけで戦うよりも、仲間が多い方がいいわけで、更にそれが大手会社をパートナーとして組むができたら、会社の成長スピードも一気に加速します。

最近では、会社の成長スピードを加速することを目的に、M&Aを活用して会社を売却したあとも、そのまま代表として残されている経営者も増えています。

もちろん、会社はM&Aをすることによって様々な目的を達成することができる反面、注意しなければいけないデメリットもあります。詳しくは売手会社の記事を参考にしてみてください。

4、M&Aで成功するポイントは?

冒頭にも書きましたが、一般的にはM&Aの成功率は3〜5割だと言われています。M&Aを活用することによって、買手会社も売手会社も効率よく様々な目的を達成することができるとは言え、その成功率は高くても5割ということです。

では、M&Aで成功するにはどうしたらいいでしょうか。大きく下記3つのポイントが挙げられます。

(1)M&Aをする目的を明確にする

何度も言いましたが、なんでM&Aをするかの目的を明確にすることが非常に重要です。

M&Aアドバイザリーは、常に売手会社と買手会社を探しています。実はM&Aをする予定はなかっただが、アドバイザリーを話を聞いて特に目的も明確せずに言われるままに進んで、失敗した実績も少なくありません。

もちろん、M&Aアドバイザリーはご自身のお客さんの立場にたち、メリットのある提案してきますが、中には数字が欲しく自分を優先したアドバイザリーがいることも否定できません。

従って、自社の成長する方向性など様々な観点から、本当にM&Aをする必要があるのか、M&Aするタイミングなど明確にしてから、実施するようにしましょう。

(2)情報収集をきちんと行う

M&Aは、税務、財務、法務などと非常に高い専門知識を要する業界です。実際にM&Aをする際に、専門家のサポートを受けることは可能ですが、

  • 業界の動き
  • M&Aの全体的な流れ
  • M&Aをする時の税金
  • M&Aを行う時の手数料

など、金額が大きい分、きちんとご自身でも情報収集することが大切です。

その時にオススメしたいのはセミナーです。しかし、M&A業界はまだ定期的にセミナーを開催している会社が少なく、見つけたら積極的に参加するといいでしょう

以下にてM&Aをテーマにしたセミナーを3つピックアップしましたので、ぜひ参加してみてください。

①エンサイドコンサルティング株式会社

URL:https://enside.link/seminar/

エンサイドコンサルティング株式会社は、会計事務所、税理士法人、社労士法人と士業の専門集団です。

M&Aの豊富実績を活用し、M&Aの実務、税金などをテーマとしたセミナーを定期的に開催しています。

などを予定しています。これからM&Aを検討されている方は、ぜひ参加してみてください。

②株式会社ストライク

URL:https://www.strike.co.jp/seminar/2019/

ストライクは東証一部に上場しているM&A仲介会社です。

経営者のためのM&Aによる新・成長戦略セミナー」をテーマにしたセミナーを

  • 東京
  • 横浜
  • 船橋
  • 立川
  • 名古屋
  • 大阪
  • 新潟
  • 仙台

など各地で開催しています。

M&Aを検討し始めの方に適しているセミナーと言えるでしょう。

(3)信頼できるパートナーを探す

最後のポイントはやはり信頼できるパートナーを探すことです。

中には知り合い同士でM&Aをされる方もいらっしゃいますが、そのあとに

  • 契約書に不備があった
  • 知らない債務があった
  • 共有された情報に嘘があった

などのようなトラブルは実際に起きています。案件の成約価格にもよりますが、税務に不安があったら公認会計士に相談するなり、契約内容に不安があったら弁護士に相談するなり、きちんと自分を守る専門家を見つけましょう。

相談先の選び方がわからない方は相談先の選び方の記事を参照にしてみてください。

お問合せフォーム

まとめ

今回はM&Aをする目的について書きましたが、参考になりましたでしょうか。

M&Aを活用することによって、様々な目的を達成することができますが、一方、成功率が非常に低いビジネス手法でもあります。きちんと自分の会社の状況、目的を明確し、分析してからM&Aを行うことが非常に重要です。

八木チエ

八木チエM&A INFO プロデューサー

投稿者プロフィール

大学卒業後、7年間IT会社の営業を経験し、弁護士事務所に転職。
弁護士事務所で培った不動産投資の知識を活かし、業界初の不動産投資に特化したメディアを立ち上げ。2018年に株式会社エワルエージェントを設立。不動産投資「Estate Luv」、保険「Insurance Luv」などのメディア運営やメディアのコンサル事業に特化。
M&A業界が盛んになった今、M&Aの情報を正しく伝えたい、もっと多くの人にM&Aの魅力を知ってもらいたいと思い、M&Aに特化したメディア「M&A INFO」を立ち上げ。より有益な情報を多く配信している。

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